IVRとCTIの違いとは?IVRの主な機能や運用ポイントも解説。

2025.08.05

2025.08.05

業務効率化や顧客対応の品質改善を目指す企業にとって、IVRは欠かせないシステムです。しかし、「IVRとCTIの違いがよく分からない」「自社にはどちらが適しているのか判断が難しい」と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、IVRの基本的な仕組みやCTIとの違い、それぞれの特徴や機能、IVR導入によるメリット・注意点を初心者にも分かりやすく解説します。また、IVRの効果を最大限に活用するための運用ポイントや、自社に最適なシステムを選ぶ際のチェックポイントについても詳しく紹介します。

IVRとは

IVR(Interactive Voice Response、電話自動音声応答)は、企業の問い合わせ対応を自動化・効率化するために導入されるシステムです。ここでは、IVRの概要やCTIとの違い、それぞれの特徴について解説します。

IVRとCTIの違い

IVRとCTIは、いずれも電話応対業務をサポートするシステムですが、それぞれの役割は異なります。

IVRは、電話をかけてきた人に自動音声で案内を行い、内容に応じてオペレーターや適切な部署に振り分ける仕組みです。

一方、CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピューターシステムを連携させる技術です。たとえば、着信と同時に顧客情報をPC画面に自動表示させたり、過去の対応履歴を参照できたりと、オペレーターの対応を支援します。IVRはCTIの機能の一部と位置づけられる場合もあります。

CTIの特徴

CTIは、電話業務とコンピューターシステムを組み合わせることで、オペレーターの生産性向上や顧客満足度の向上に貢献します。たとえば、通話内容の録音や応対結果の分析が可能であり、品質管理や業務改善にも役立ちます。

また、SFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理システム)などの他システムと連携できる点も大きな特徴です。これにより、スムーズかつ高度な対応が可能となり、ヒューマンエラーの防止にもつながります。

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IVRの特徴

IVRの最大の強みは、自動応答により24時間の問い合わせ対応を可能にする点です。通常、企業の電話対応は営業時間内に限られますが、IVRを導入すれば、営業時間外でも一定の案内や対応ができるため、顧客満足度の向上や機会損失の防止につながります。

また、プッシュボタン操作によって問い合わせ内容に応じた適切な窓口やオペレーターに自動で接続できるのもIVRの特徴です。定型的な問い合わせや繰り返しの案内を自動化することで、人的コストの削減にも貢献します。

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IVRの主な機能

IVRには、顧客対応を効率化するさまざまな機能が搭載されています。主な機能は以下の6つです。

・問い合わせへの自動対応
・問い合わせのオペレーターへの振り分け
・通話録音、履歴の保存
・SMS/メール送信機能(通知)
・録音文字化機能
・音声認識

それぞれの機能について解説します。

問い合わせへの自動対応

IVRの基本機能のひとつは、顧客からの電話に対して自動音声応答を流し、よくある問い合わせに対応することです。たとえば、「商品の発送状況を確認したい方は1を押してください」といった案内を通じて、回答へ導きます。

オペレーターを介さずに多数の問い合わせに対応できる上、24時間対応が可能です。そのため、人件費の削減や対応スピードの向上につながります。特に、問い合わせ内容が限定的な業種や、FAQが明確なサービスでは、大きな効果が期待できます。

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問い合わせのオペレーターへの振り分け

IVRは、顧客の問い合わせ内容に応じて、適切なオペレーターや部署へ自動的に振り分ける機能を備えています。顧客は自身の要件に合った担当者へ直接つながることで、電話のたらい回しを回避でき、ストレス軽減につながります。

また、オペレーター側は事前に問い合わせ内容を把握できるため、より的確で迅速な対応が可能です。さらに、経験豊富なオペレーターには多くの問い合わせを優先的に振り分ける一方、新人オペレーターには負担が過剰にならないよう適切に割り当てることで、業務効率化の向上が期待できます。

通話録音、履歴の保存

IVRとCTIの組み合わせで、通話内容の録音や過去の通話履歴の管理が可能です。録音データは、トラブルやカスハラの防止、対応品質の平準化など、さまざまな場面で活用できます。
また、通話履歴の保存によって、出られなかった電話への迅速な対応が可能となり、対応済みの電話内容を他の担当者と共有したり、必要に応じて後で確認したりすることも容易です。これにより、顧客満足度の向上や業務の円滑化につながります。

音声認識

従来のIVRでは、音声ガイダンスに従って「1」や「2」などのプッシュボタンを押す方式が主流でした。しかし近年では、音声認識技術を活用したIVRが広がっています。顧客が「注文の確認をしたい」などと話すだけで、システムが内容を認識し、適切な案内を行うことが可能です。

音声認識があることで、スマートフォン操作に不慣れな方や高齢者でも直感的に利用でき、ユーザビリティが向上します。また、複雑な選択肢も口頭で伝えられるため、ガイダンスの簡素化にもつながる機能です。

IVRを導入するメリット

IVRを導入することで、さまざまなメリットを得られます。主なメリットは以下の4つです。

・電話対応の効率化
・営業時間外の対応
・オペレーター不足の解消
・顧客の待ち時間短縮

それぞれのメリットについて解説します。

電話対応の効率化

IVRを導入することで、よくある問い合わせや簡単な案内に対して、自動音声で対応することが可能になります。「荷物の再配達依頼」「請求書の再発行」「営業時間の確認」など、幅広い内容についてオペレーターを介さずに完結させることが可能です。

これにより、オペレーターは複雑な対応が求められる案件に集中できるため、業務全体の効率が大幅に向上します。また、業種によっては問い合わせ件数が増加しても、追加の人員を確保することなく対応を続けられます。

営業時間外の対応

多くの企業では、電話対応が平日日中に限定されていることが一般的です。しかしIVRを導入すれば、夜間や休日であっても自動音声による対応ができます。「飲食店の予約確認」「店舗の営業時間」「アクセス方法の案内」など、有人対応を必要としない内容であれば24時間対応が可能です。

顧客は自分の都合に合わせて必要な情報を得られるため、利便性が大きく向上します。企業側にとっても、営業時間外の問い合わせを取りこぼすリスクを減らせるため、ビジネスチャンスの拡大につながります。

オペレーター不足の解消

近年、コールセンター業務における人材確保が難しく、限られた人員で大量の問い合わせに対応する必要が生じるケースが増えています。IVRを活用して簡易的な業務を自動化し、複雑な問い合わせにはオペレーターが対応する分業体制を整えることで、最小限の人員でも効率的に業務を運営することが可能です。

この仕組みにより、オペレーター一人ひとりの負担を軽減できるため、職場環境の改善や離職率の低下が期待できます。結果として、長期的な人材確保や業務効率の向上にも寄与します。

顧客の待ち時間短縮

顧客が電話をかけた際に、必要な情報へ迅速にアクセスできる点も大きな魅力です。IVRにより、用件に応じた適切な部署へスムーズに誘導されるため、オペレーターにつながるまでの時間を短縮できます。

特に、繁忙期やキャンペーン期間など、問い合わせが集中しやすい時期には、迅速かつ適切な対応が顧客満足度の維持に直結します。また、顧客をたらい回しにするリスクを低減することで、クレームの削減にも効果的です。このような対応スピードの向上は、企業イメージの改善にも寄与します。

IVR導入の注意点

IVRには多くのメリットがありますが、導入時にはいくつか注意すべき点もあります。主な注意点は以下の4つです。

・選択肢を多くしない
・ガイダンスを長くしすぎない
・柔軟な対応ができるようにしておく
・窓口ごとに入電数が偏らないようにする

それぞれの注意点について解説します。

選択肢を多くしない

IVRで提示する選択肢が多すぎると、顧客がどれを選べばよいか迷いやすくなり、ストレスを感じてしまいます。たとえば「1〜9の中から選んでください」といった複雑な構成では顧客が混乱し、途中で離脱されるリスクも高くなります。

選択肢は、可能であれば2つ、多くても3〜4つ程度にとどめるのが理想です。どうしても数が多くなる場合は、カテゴリごとに段階的に案内するなど、シンプルで分かりやすい設計を心がけましょう。あくまで大切なのは「顧客がスムーズに目的の窓口へたどり着けること」であり、自動化のための複雑さは本末転倒です。

ガイダンスを長くしすぎない

IVRによるガイダンスが長すぎると、顧客は内容を途中で聞き逃し、最後まで聞かずに電話を切ってしまう可能性があります。特に、「次に該当する場合は〇番を押してください」という案内が延々と続くと、どこで終わるのか分からず、利便性が大きく損なわれます。

IVRのガイダンスは、短く簡潔で、分かりやすい言葉を使うのが基本です。1回の再生で要点が伝わるよう意識しましょう。たとえば、「選択肢は全部で3つあります」と事前に伝えるだけでも、聞き手の集中力を維持しやすくなります。

柔軟な対応ができるようにしておく

IVRによって業務を効率化できる一方、すべてを機械的に処理しようとすると、顧客に不便を感じさせてしまう場合があります。複数の内容が絡んだ問い合わせや、想定外の質問には、プッシュボタン操作だけでは対応しきれません。

ガイダンスだけで対応が完結しない場合に備え、「その他のお問い合わせ」や「オペレーターと直接話す」といった選択肢を設けておくことで、柔軟な対応が可能になります。そうした設計により、顧客の不満や不信感の軽減、企業イメージの向上にもつながります。

窓口ごとに入電数が偏らないようにする

IVRの設計によっては、特定の選択肢に入電が集中し、一部の窓口だけが過度に混雑してしまうケースがあります。こうした偏りが続くと、業務全体の対応スピードや品質に悪影響を与えるだけでなく、負担が偏ったオペレーターのモチベーション低下や離職につながるリスクもあります。

このような事態を防ぐためには、IVRの運用データを定期的に分析し、入電傾向に応じてガイダンス構成や選択肢を見直すことが重要です。適切に分岐を調整することで、各窓口の負荷をバランスよく分散させ、よりスムーズな対応体制を実現できます。

IVRの運用ポイント

IVRは導入して終わりではなく、運用面での工夫によって効果が大きく変わります。顧客にとって使いやすく、企業にとっても実用性の高いものにするには、継続的な改善が欠かせません。運用時に押さえておくべき重要なポイントは、以下の3つです。

・最適な音声シナリオの設計
・データから改善策を検討
・他システムとの連携

それぞれのポイントについて解説します。

最適な音声シナリオの設計

IVRの効果を最大限に引き出すには、短く簡潔で分かりやすい音声ガイダンスを設計することが理想的です。同時に、誤操作が発生しにくい構成を意識することも重要です。プッシュボタンの操作順や案内内容が分かりにくい場合、顧客の誤操作や途中で離脱する可能性があります。

事前に顧客からの問い合わせ内容を分析し、頻度の高い項目を優先的に案内したり、重要な選択肢を明確に伝えたりするなど、細かな調整を意識しましょう。また、音声の伝わり方も配慮すべき要素です。ナレーションのトーンや話す速度を工夫することで、顧客のストレスを軽減し、利用体験の向上につながります。

データから改善策を検討

IVRの利用状況は、通話ログや選択傾向といった形でデータに蓄積されます。これらのデータを定期的に分析し、「特定の選択肢に集中している」「通話が途中で切れるケースが多い」などの課題を明らかにすることが重要です。

たとえば途中離脱が多い場合は、ガイダンスが長すぎる、あるいは説明が分かりづらいといった問題が考えられます。データから得られた課題をもとに改善を加えていくことで、運用の精度が向上し、最終的な顧客満足度の向上にもつながります。

他システムとの連携

IVRは、CTIやCRMといった他のシステムと連携させることで、さらに高い効果を発揮しますIVR単体ではできることに限りがありますが、システム連携により、着信時に顧客情報をオペレーターの画面に自動表示したり、通話履歴を保存したりすることが可能です。

また、再配達依頼や予約変更といった処理も、配送管理システムなどと連携することで自動化できます。このように、IVRの利便性と業務全体の効率を高めるためにも、あらかじめ連携可能なシステムや範囲を確認しておくことをおすすめします。

最適なIVRを選ぶポイント

IVRの導入を検討する際は、単に機能が豊富なものを選ぶのではなく、自社の業務フローや課題に適したシステムを選定することが重要です。選び方を誤ると、かえって業務が煩雑になったり、顧客の利便性を損なったりする恐れがあります選定時に重視すべきポイントは、以下の4点です。

・搭載されている機能
・導入期間
・導入料金
・カスタマイズの自由度

それぞれのポイントについて解説します。

搭載されている機能

IVRを選ぶ際は、どのような機能が備わっているかを必ず確認しましょう。たとえば、「音声ガイダンスのカスタマイズ性」「通話録音」「履歴管理」「時間帯による対応の切り替え」「音声認識」「多言語対応」など、システムによって機能の有無や内容に差があります。

また、「再配達依頼」「予約変更」といった業務に直結する機能が標準で搭載されているかどうかも、重要な検討ポイントです。自社の業務内容や顧客対応の流れを整理し、本当に必要な機能がそろっているか、また将来的な拡張にも対応できるかという視点で検討しましょう。

ただし、搭載されている機能は必要なものがそろっていれば十分であり、過剰な機能はコスト増につながる恐れがあるため、注意が必要です。

導入期間

IVRには大きく分けてオンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミス型は導入までに時間がかかる傾向があります。特に、シナリオ設計や他システムとの連携が必要な場合は、調整やテストに時間を要するため、十分な準備期間が必要です。

一方、クラウド型であればテンプレートを活用することで、短期間で導入できるケースも多く、スピードを重視する企業には向いています。導入スケジュールを明確にし、繁忙期を避けるなどして、計画的に進めることが大切です。

初めてIVRを導入する場合には、予期せぬトラブルが発生する可能性もあるため、運用開始後のサポート体制もあわせて確認しておくと安心です。

導入料金

IVRの導入にかかる費用は、サービス形態や利用規模によって大きく異なります。

・オンプレミス型:初期費用が高くなりがちで、専用設備やシステム構築費、保守管理費が発生します。ただし、長期的に利用する場合は、ランニングコストは比較的抑えられる傾向があります。
・クラウド型:月額課金制が一般的で、初期投資を抑えたい企業にとっては導入のハードルが低い反面、長期的にはオンプレミス型よりコストが高くなる場合もあります。

クラウド型の安価なプランを利用する場合は、機能が制限されていたり、カスタマイズの自由度が低かったりするため注意が必要です。単に価格だけで比較するのではなく、「自社の運用に適しているか」「長期的なコストパフォーマンスに見合っているか」といった観点で判断しましょう。

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カスタマイズの自由度

IVRは業種や企業ごとの業務フローに合わせた柔軟なカスタマイズが求められるケースが多くあります。たとえば、「独自の音声ガイダンスを設定したい」「特定の部署にだけ異なるフローを設けたい」「CTIやCRMと連携したい」など、ニーズはさまざまです。

自社の要件に応じて、どの程度まで調整できるかを確認するとともに、ベンダー側のサポート体制も含めてチェックしておくと安心です。

IVR搭載のCTIシステムを導入して業務を効率化!

IVRを導入することで、電話対応の自動化が進み、業務効率の向上や顧客満足度の改善が期待できますまた、CTIと連携することで、さらに高度な業務の自動化も実現可能です。

導入にあたっては、顧客を優先したアプローチが重要です。必要な機能を選定した上で運用を開始し、その後も継続的な改善を行いましょう。

IVRなら「ソクコム」がおすすめです。ソクコムでは工事の必要が一切なく、すべてクラウド上で完結します。また、CRM、SFA、MAなどの外部ツールとの連携も可能です。さらに、必要な機能だけを選んで導入できるため、コストを抑えながら高い導入効果を得られます。電話対応の品質を向上させ、顧客対応の負担を軽減したいとお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。

監修: 阿野正貴

Foonz株式会社 執行役員(兼 CP事業本部 副本部長)
急成長ベンチャー企業のコールセンターにて、テレアポスタッフとして入社後、
1年以内にトップ成績を上げて、BPO事業のアウトバウンド・インバウンドのコールセンター拠点立ち上げの責任者に抜擢される。
最大100席以上の大規模拠点を、ゼロから複数の立ち上げ実績あり。
2021年Foonz株式会社に入社後、CTIツールの営業拡販、CPaaS、CTI製品開発の監修等に携わり、現職に至る。
CTI製品に精通した、BtoC,BtoBテレアポ、コールセンター拠点立ち上げの専門家。

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