CPaaS比較6選!具体例や比較ポイントを解説

近年、顧客との接点の強化や業務効率化を目指す企業が増えており、その一環として「CPaaS」の導入を検討する動きが広がっています。CPaaSは、電話・SMS・メール・チャットなど、複数の通信手段をAPIでひとつのシステム上でまとめて管理できるため、DX推進にも役立つ、注目のサービスです。

ただし、自社に最適なサービスを選ぶには、各製品をしっかり比較することが重要です。

この記事では、主要な6つのCPaaS製品と、それぞれの選び方のポイントについてわかりやすく解説します。

CPaaSとは?

CPaaS(シーパース)とは「Communication Platform as a Service」の略で、クラウド上で提供される通信機能を指します。電話やSMS、チャットなどの機能を自社のシステムに組み込んで、柔軟に活用できるのが特徴です。

ここでは、CPaaSの基本的な仕組みや役割、さらにAPIとの関係について、以下の項目に分けて解説します。

・CPaaSとは
・APIとは

CPaaSとは

CPaaSは、音声通話やSMS、ビデオ会議などの通信機能を、API経由で組み込めるクラウド型プラットフォームです。自社サービスと柔軟に連携できるうえ、インフラ構築が不要なため、導入や運用の手間を大幅に削減できます。

また、複数のチャネルを自由に追加・削除できるため、認証や予約通知、マーケティングなど、様々な用途に活用可能です。コールセンターや医療現場などでも活用されており、効率的なコミュニケーション基盤として注目されています。

APIとは

API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェア同士をつなぐ「橋渡し」の役割を果たす仕組みです。例えば、SMS送信機能を自社アプリに追加したい場合、CPaaSが提供するSMS APIを利用すれば、複雑な開発作業を行わずに、機能を連携させられます。

このように、技術的な細部を意識することなく機能を利用できるため、開発の負担が軽減され、サービスを迅速に展開できるようになります。APIは、柔軟性と効率性を兼ね備えた、現代のITを支える重要な基盤です。

CPaaSのメリット

CPaaSを導入することで、多くのメリットが得られます。主なメリットとしては、次の4つが挙げられます。

・様々なチャネルを一元管理できる
・コストの低減が期待できる
・顧客満足度の上昇
・システム構築の工数削減

以下、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

様々なチャネルを一元管理できる

CPaaSの大きな特徴として、音声通話やビデオ通話、SMS、Eメール、チャットボット、IVRなど、様々なコミュニケーション手段をひとつのプラットフォーム上で一元管理できる点が挙げられます。また、契約から導入、運用までを一括で進められるため、サービスの立ち上げも迅速に行うことが可能です。

さらに、保守対応も一元化されているため、万一トラブルが発生しても迅速に対応できます。個別に運用する場合と比べて業務効率が大幅に向上し、その結果、リソースを本来の業務により集中させやすくなるため、生産性の向上も期待できます。

コストの低減が期待できる

CPaaSはクラウド型の通信基盤です。そのため、初期投資や専用機器の準備が不要で、設備費を大幅に抑えられます。 また、従量課金制を採用しているサービスも多く、必要な機能だけを選んで利用できるため、無駄な支出を抑えつつ小規模に導入できる点も特徴です。

さらに、既存システムとも柔軟に連携できるため、外部委託が不要となり、開発コストの削減にもつながります。 このほか、顧客の反応を確認しながら費用対効果を調整できる点も、運用コストの最適化に寄与します。

顧客満足度の上昇

CPaaSを導入することで、企業は顧客との接点を増やし、サービスの使いやすさや利便性を大幅に向上させられます。例えば、メールやSMS、チャットなど様々な連絡手段を組み合わせることで、顧客のニーズや好みに応じた柔軟な対応が可能です。

また、情報を正確に伝えられるため、顧客にとってストレスの少ない体験を提供できます。その結果、企業は顧客との信頼関係をより一層深めることができ、顧客満足度の向上にもつながります。さらに、このような円滑なコミュニケーションは、最終的には企業価値の向上にも貢献します。

システム構築の工数削減

CPaaSを導入することで、複数のコミュニケーションチャネルを一元的に管理できるようになります。その結果、システムの構築や保守にかかる手間を大幅に削減することが可能です。

従来は、チャネルごとに契約や開発、実装を個別に行う必要がありました。しかし、CPaaSを活用すれば、API連携だけで簡単にシステムに組み込めるうえ、あとからチャネルを追加する際にも柔軟に対応できます。これによりDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、マーケティング施策の迅速な展開が可能です。

また、開発にかかる作業時間が短縮されることで、エンジニアはより専門性の高い業務に専念できるようになり、結果として組織全体の生産性向上にも結びつきます。

CPaaSの機能

CPaaSの導入により、顧客とのコミュニケーションを様々なチャネルでより効率的に行えるようになり、利便性の向上や業務の効率化が期待できます。代表的な機能は、次の4つです。

・IVR
・SMS
・メール
・FAX機能

以下では、それぞれの機能について詳しく紹介します。

IVR

CPaaSの代表的な機能のひとつに、IVR(自動音声応答)があります。これは、顧客からの電話にコンピュータが自動対応する仕組みで、音声ガイダンスによる案内を通じて顧客の求める情報に誘導したり、スムーズに担当部署へ転送したりできます。

また、Voice APIと組み合わせることで、着信・発信の通話ルーティングや録音機能なども柔軟に構築できます。さらに、クラウド型IVRであれば、専用機器を用意する必要がなく、手軽に導入できる点が大きな特徴です。

IVRは24時間対応や、電話が集中した際の「あふれ呼」対策にも役立つため、業務効率化と顧客満足度の向上という両面を実現する、DX推進において重要な機能となっています。

IVRについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

IVR (電話自動音声応答) とは?仕組みとメリットを解説
IVR導入ガイド|メリットや注意点から費用目安・選び方までを解説
IVRとCTIの違いとは?IVRの主な機能や運用ポイントも解説。

SMS

CPaaSには、音声通話やビデオ通話に加えて、SMS機能も含まれています。このSMS機能では、個別送信と一斉送信のいずれにも対応しており、多人数への配信が可能です。さらに、ダッシュボードから簡単に操作できるほか、APIと連携して自動送信できます。そのため、運用スタイルに応じて柔軟に利用方法を選択可能です。

さらに、双方向SMSや送信元IDの指定、予約送信、長文対応、国際送信など、ビジネスニーズに応じた様々な機能を備えた製品もあります。これらの機能を活用することで、顧客との確実なコミュニケーションを強力に支援できます。

SMSについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
SMSとSNS:企業が知っておくべき違いと使い分け方

メール

CPaaSのメール機能を使うことで、予約完了の通知やリマインダーの送信を自動化でき、顧客との関係をより深められます。例えば、飲食店や美容院の予約システムと連携させれば、メールで予約内容の詳細を通知したり、前日にSMSでリマインダーを送信したりすることも可能です。

また、到達率・開封率・クリック数といった配信結果を分析して、メールの効果を可視化できます。さらに、メールアドレスの有効性をリアルタイムで確認するため、データベースの情報を常に最新で正確な状態に保つことができ、無断キャンセルの抑止にもつながります。

加えて、APIを使えば日時を指定した自動送信も可能なので、日々の運用にかかる手間も大幅に削減可能です。

FAX機能

CPaaSの一機能として、FAXや郵送など、従来アナログだったチャネルも統合できます。これにより、メールやSMSと同様に、これらの手段も共通のプラットフォーム上で一元管理できるようになります。そのため、予約リマインドや本人確認、債権回収など、多様な業務にも柔軟な対応が可能です。

また、エンドユーザーが「この情報はFAXで受け取りたい」と希望した場合にも対応できる製品もあり、サービスの利便性や信頼性をさらに高められます。従来は個別に運用されていた通信手段同士を、CPaaSにより連携させることで、チャネルの壁を越えたスムーズな情報伝達が可能になります。

CPaaSの比較ポイント

CPaaSを選ぶ際は、単に価格や機能だけでなく、業務効率の向上や顧客体験への影響にも注目することが重要です。そこで以下では、導入前に確認しておきたい主な比較ポイントを5つ紹介します。

・提供している通信チャネルの種類
・サポートが充実しているか
・扱いやすいUIか
・通信品質が問題ないか
・セキュリティ・認証機能

これらの項目を検討することで、自社に最適なCPaaSを選びやすくなります。

提供している通信チャネルの種類

CPaaSを選ぶ際には、どのチャネルに対応しているかが重要な判断基準となります。例えば、SMSや音声通話のみを取り扱うサービスもあれば、LINEやWhatsApp、Webチャット、ビデオ通話など、多様なチャネルに対応しているサービスもあります。現在のニーズだけでなく、将来的な事業展開も見据え、あとから柔軟にチャネルを拡張できる仕組みを選ぶことが重要です。

さらに、各チャネルの機能(例えばSMSの到達率や自動応答、再送など)も、実際の使いやすさに大きく影響します。導入前には、対応チャネルの種類や各機能の内容を十分に確認しておきましょう。

サポートが充実しているか

CPaaSを選ぶ際に重視したいのは、サポート体制がどれほど充実しているかという点です。特に、日本語でサポートを受けられるかどうかは、導入後も安心して運用するための重要なポイントとなります。

多くのサービスは海外企業によって提供されているため、英語にしか対応していないケースもあり、設定やトラブル対応の際に苦労することがあります。そのため、日本語に対応した相談窓口があるか、マニュアルやFAQが日本語で用意されているかを事前にしっかり確認しておきましょう。

また、障害発生時の対応時間や、運用中のQA(質問対応)サポート体制も、業務を安定して継続するうえで欠かせない要素です。このようなサポートの質が、サービス全体の信頼性を大きく左右します。

扱いやすいUIか

CPaaSサービスを選ぶ際には、UI(ユーザーインターフェース)の使いやすさが、導入後の業務効率に大きく影響します。しかし、説明資料だけでは実際の操作性や画面の使い勝手まではわかりません。

そこで、まずは無料トライアルを利用してみましょう。多くのサービスでは、一定期間無料で試用できる機会が設けられています。この期間中に、UIがどれほど直感的に操作できるか、また各種設定が容易に行えるかなどを実際に体験できます。実務に近い形で機能を検証することで、導入後のミスマッチや失敗のリスクを減らすことが可能です。比較・検討する場合は、まず無料トライアルを利用して、「使いやすさ」をしっかり確認することをおすすめします。

通信品質が問題ないか

CPaaSを導入する際は、通信品質の安定性に注意が必要です。特に、海外拠点や国際的な顧客とやり取りを行う場合、対応エリアの広さや通信インフラの信頼性が、業務の成否を左右します。

また、遅延の少なさや国際SMSの到達率、通信キャリアとの接続のしやすさなど、確認すべき点が多くあります。そのため、実績のあるグローバルプロバイダーを選ぶことで、想定外の通信障害による業務の遅延を防ぐことが可能です。

導入前には、通信テストや配信成功率を十分に検証し、安定した運用が可能かどうかを確認することが重要です。

セキュリティ・認証機能

CPaaSを選定する際は、セキュリティおよび認証機能の充実度が非常に重要な比較要素となります。なぜなら多くの場合、通信のやり取りには個人情報が含まれているためです。そのため、情報漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑える仕組みが欠かせません。具体的には、多要素認証やデータの暗号化、IPアドレスによるアクセス制限、TLS(通信内容の暗号化)対応などの技術的対策が必要です。

さらに、ISO認証やSOC 2など、第三者機関による監査実績があることも、サービスの信頼性を示す重要な根拠となります。特に医療、金融、行政などの分野では、より厳格なセキュリティ基準が求められるため、導入前にサービスの仕様や実績を十分に確認することが重要です。

主なCPaaS製品

CPaaSを導入することで、業務効率化や顧客との接点強化だけでなく、自社システムの柔軟な拡張にもつながります。以下では、国内外で利用される代表的なCPaaS製品を6つ紹介します。

・ソクコム
・CPaaS NOW
・Vonage Communications API
・Twilio CPaaS
・CPaaS X
・NTT CPaaS

ソクコム

「ソクコム」は、電話やSMS、FAX、メールなど、様々なコミュニケーション手段を一元管理できるクラウド型プラットフォームです。月額1,480円から、必要な機能だけを選んで利用できる柔軟な料金プランとなっています。さらに工事不要で、最短3営業日での導入が可能です。また、直感的で使いやすいUIと充実したサポート体制により、業務の効率化を実現できます。

さらに、CRM(顧客管理システム)などの外部ツールともスムーズに連携できることも特徴です。そのため、営業やサポート、リモートワークなど、様々な業務に幅広く対応しています。コスト削減と生産性向上を同時に実現する、次世代のコミュニケーション基盤となっています。

ソクコム

CPaaS NOW

「CPaaS NOW」は、SMSやメール、FAX、郵送など、様々な通信手段をAPIで一元管理できる日本製のプラットフォームです。チャネルを追加する際にも再契約は不要で、柔軟に対応できます。また、携帯キャリア直結のSMSや、日本国内向けに特化したメールサーバーを採用しているため、高い到達率を実現しています。

さらに、日本語によるサポート体制に加え、24時間体制でシステムを監視しているため安心です。このサービスを導入することで、開発にかかる工数を削減でき、PdM(プロダクトマネージャー)やエンジニアが本来の業務に集中できる環境を整えられます。オムニチャネル化によって顧客との接点を強化できるため、自社サービスの価値を高める有効な手段です。

CPaaS NOW

Vonage Communications API

「Vonage Communications API」は、音声やビデオ通話、SMS、RCS、WhatsAppなど、様々なチャネルを一元的に管理できるプラットフォームです。このサービスを利用することで、顧客とのコミュニケーションフローを柔軟に設計できます。

さらに、AIによるパーソナライズ機能や二要素認証など、高いセキュリティも備えているため、信頼性と柔軟性を両立させた優れた顧客体験の提供が可能です。また、ノーコードツールやグローバル対応といった利点もあり、開発者から企業まで幅広い層に利用されています。特に、ブランド価値の向上を目指す企業にとっては、非常に有力な選択肢となります。

Vonage Communications API

Twilio CPaaS

「Twilio CPaaS」は、音声やSMS、メール、各種メッセージングアプリを自在に統合できるクラウド型通信プラットフォームです。APIを利用すれば、既存のサービスにも簡単に組み込むことが可能です。そのため、通知や認証、マーケティングなど幅広い用途で利用できます。

また、99.95%という高い稼働率に加え、ISO認証により信頼性も確保されています。さらに、サービスは世界180か国以上へ展開可能である点も大きな魅力です。

料金体系は従量課金制で、柔軟にスケールできるため、開発者から大企業まで幅広いニーズに対応しています。顧客とのコミュニケーションを強化したい企業にとっては、最適なサービスです。

Twilio CPaaS

CPaaS X

「CPaaS X」は、通信プラットフォームの運用効率を大幅に高める、次世代のモジュール型APIプラットフォームです。自動化されたオンボーディングや番号プロビジョニング機能により、導入から稼働までの期間を大幅に短縮できます。中核となるMessages APIを活用することで、SMSやRCS、チャットアプリなど様々なチャネルを一元的に管理でき、チャネルの追加や障害発生時の切り替え(フェイルオーバー)も容易です。

また、個別レポートの作成や柔軟な構成変更が可能であり、グローバルな展開にも対応できます。これらの特徴により、開発負荷を抑えながら、迅速かつ確実に顧客との接点を構築できます。

CPaaS X

NTT CPaaS

「NTT CPaaS」は、SMS、音声通話、メール、2FA(2要素認証)などの機能を手軽にまとめて利用できる通信APIサービスです。開発者向けには多言語対応のSDKやAPIを、ビジネス部門向けには専門的な知識がなくても使えるノーコードツール「Moments」を提供しています。

また、既存システムとも容易に連携できるため、顧客対応の自動化や最適なチャネルを選択できます。さらに、初期費用が基本不要で従量課金制のため、導入しやすい点も魅力です。顧客体験(CX)の向上と業務効率化を同時に追求する企業に最適なソリューションです。

NTT CPaaS

CPaaSを導入して業務を効率化!

CPaaSは、音声やSMS、メール、FAXなど、様々な通信手段をAPIによって一元管理できるクラウド型プラットフォームです。業務の効率化や顧客満足度の向上に役立ちます。

中でも「ソクコム」は、導入しやすい点や柔軟な料金プラン、直感的に使えるUIが特徴です。CRMとの連携や、サポート体制が充実した伴走支援プランも用意されているため、初めての方でも安心して利用できます。

監修: 阿野正貴

Foonz株式会社 執行役員(兼 CP事業本部 副本部長)
急成長ベンチャー企業のコールセンターにて、テレアポスタッフとして入社後、
1年以内にトップ成績を上げて、BPO事業のアウトバウンド・インバウンドのコールセンター拠点立ち上げの責任者に抜擢される。
最大100席以上の大規模拠点を、ゼロから複数の立ち上げ実績あり。
2021年Foonz株式会社に入社後、CTIツールの営業拡販、CPaaS、CTI製品開発の監修等に携わり、現職に至る。
CTI製品に精通した、BtoC,BtoBテレアポ、コールセンター拠点立ち上げの専門家。

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