2024.08.08
ビジネス電話での取り次ぎマナーはある?シーン別の対応方法も解説
ビジネスシーンにおける電話対応において、取り次ぎは重要な業務の一つです。用件を正確に把握して担当者へ取り次ぐことで、業務を円滑に進めることができ、取引先からの信頼を得られます。
ビジネス電話の取り次ぎ方法はシーンによって異なるため、どのようなシチュエーションでも適切に対応したいと考えている人もいるでしょう。
本記事では、ビジネス電話の取り次ぎマナーやシーン別ノウハウを解説します。電話対応での取り次ぎに苦手意識のある人や、品質をアップさせたい人は参考にしてください。
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ビジネスシーンでの電話対応の基本マナーとは
ビジネス電話の対応では、適切な敬語・敬称の使用や、基本的なマナーが重要です。ここでは、ビジネスパーソンとしての電話対応マナーや、身に付けておきたいポイントを解説します。
「会社の顔」を意識する
電話対応をする際は、自分自身が「会社の顔」であると意識して対応しましょう。電話は相手の表情が見えないため、対面での会話以上にていねいな言葉遣いと聞き取りやすい話し方を心がける必要があります。
また、対応時に不適切な言葉遣いをすると、相手に不快感を与えてしまう恐れがあります。普段使用している敬語や敬称に間違いがないか、確認しておくとよいでしょう。
敬称 | ・自分→わたし・わたくし ・相手→〇〇様 ・自分の会社→弊社 ・相手の会社→御社 |
---|---|
尊敬語 | ・言う→おっしゃる ・見る→ご覧になる ・聞く→お聞きになる ・来る→いらっしゃる、お見えになる、お越しになる ・教えてください→ご教示ください |
謙譲語 | ・言う→申し上げる ・する→いたします ・知っている→存じ上げております ・分かりました→承知しました ・すみません→申し訳ございません |
このほか、思いやりのある言動や落ち着いた対応を心がけることも大切です。電話の相手は取引先であることや、自分自身が「会社の顔」であることを忘れずに、適切な対応を心がけてください。
用件を正確に確認する
ビジネス電話を取り次ぐ際は、用件を正確に確認し、状況に適した対応が重要です。いつ・誰が・どのような用件で問い合わせてきたのかが分かれば、担当者にスムーズに取り次げます。
相手が名乗った後に、「〇〇会社の△△様でいらっしゃいますね」と名前を復唱し、用件を伺いながらメモを取ることも大切です。もし、相手の声が聞き取りづらい場合は、ていねいに聞き直しましょう。
・申し訳ございません。お電話が少々遠いようで聞き取りづらいのですが、もう一度お伺いできますでしょうか。
・メモが追い付かず、申し訳ありませんが、もう一度お伺いできますでしょうか。
タイミングを逃し、聞き直さずに不正確のまま電話を取り次ぐと、後々トラブルの原因になる可能性もあります。電話を取り次ぐ際は相手の話を最後まで聞き、復唱しながら用件を確実に把握するようにしましょう。
必要に応じて担当者へ取り次ぐ
相手から指名される場合や、即答できない質問の場合は、担当者へ取り次ぎましょう。
ビジネスシーンでは担当者にしか分からない専門的な問い合わせや、緊急時の対応依頼、クレームなどさまざまな電話がかかってきます。
担当者へ取り次ぐ際は、メモを活用して用件の重要事項を記録しておくとよいでしょう。このメモを活用すれば、担当者が電話を代わった後も相手が再度説明する手間を省けます。
<担当者へ取り次ぐためにメモしておくべき重要事項>
・電話を受けた日時
・相手の会社名
・氏名
・用件
・要望
・伝言内容
・相手の連絡先
・折り返しの有無や、折り返しが可能な時間帯
・電話以外の折り返しの手段
また、担当者に取り次ぐ際の所作として、必ず保留ボタンを押すようにしましょう。まれに、受話器を手で押さえる人もいますが、適切とはいえません。受話器を手で押さえただけでは社内の会話が漏れていて、相手に不快な思いをさせる可能性があります。
取り次ぐ際は「ただ今おつなぎしますので、少々お待ちくださいませ」と伝え、保留にしてから取り次ぎましょう。万が一、保留時間が長くなりそうな場合は、断りを入れるのがマナーです。30秒以上待たせてしまう場合や担当者が不在の際は、お詫びを伝え、折り返しの連絡を提案します。
電話取り次ぎにおけるシーン別の対応
ビジネス電話の問い合わせ内容は多岐にわたるため、基本どおりにいかない場合もあるでしょう。ここでは、電話取り次ぎにおけるシーン別の対応例を紹介します。
担当者が不在の場合
担当者が不在の場合、一時的に席を外しているのか、出張や外出で不在なのかによって取り次ぎ方法が異なります。一時的に席を外している場合は、席を外している、または別の電話に出ていると説明しましょう。
席を外している場合 | 申し訳ございません。〇〇はただいま席を外しております |
---|---|
別の電話に出ている場合 | 申し訳ございません。〇〇はただいま別の電話に出ております |
担当者が電話や食事・休憩など、一時的に席を外している場合は、短期間で戻ってくるため折り返しを提案します。その際、用件や連絡先・折り返しが可能な時間帯を伺っておくとていねいです。一方、出張・外出などの場合は、帰社時刻や終日戻らない旨を伝えます。
外出中の場合 | 申し訳ございません。〇〇は本日、外出しており、17時頃に戻る予定です |
---|---|
出張中の場合 | 申し訳ございません。〇〇は本日出張のため、社には戻りません |
外出や出張の場合、連絡が取れるのは数時間~翌日以降になる可能性があります。用件や連絡方法・時間など相手の希望を伺い、担当者に折り返す旨を引き継ぎましょう。
専門的な内容の場合
担当者や部署が不明な問い合わせは、代表電話にかかってくることがあります。この場合も取り次ぎ時の流れと同様に用件を伺い、重要事項をメモに取ります。ヒアリングを的確に行うことで、キーワードから担当部署を推測しやすくなるでしょう。
とはいえ、担当部署の特定に時間がかかりそうな場合や上司や先輩に相談したい場合は、折り返しを提案するのが無難です。その際は、「大変申し訳ございませんが、お調べして、後ほど担当からご連絡差し上げます」と謝罪し、連絡先を伺いましょう。
緊急案件の場合
緊急案件の場合も取り次ぎ方は通常と同じですが、状況に応じて適切な対応を取る必要があります。担当者がいる場合は緊急の案件であることを伝え、すぐに取り次ぎましょう。一方、担当者が別業務中の場合は緊急対応を要する旨を記載したメモを渡します。また、担当者が外出中であれば、業務用の携帯電話に連絡を入れ、対応を促してください。
万が一、担当者が休暇や終日不在の場合は、取り次ぎできないことを伝えつつ、代理の担当者や上司につなぎます。緊急の問い合わせの場合は、相手が困っていたり、トラブルを抱えていたりする場合が多くあります。サポートしたい意思表示を含めて、迅速に対応する姿勢を見せることが重要です。緊急時の対応によっては、会社の信頼度に影響することを覚えておきましょう。
クレーム対応の場合
ビジネス電話でのクレーム対応で大切なのは、不快な気持ちにさせてしまったことへのお詫びです。その後で、丁寧に用件を伺い担当へと取り次ぎましょう。クレームの電話がかかってきた場合、相手はすでに不満や不信感を抱いている状態です。まずは心を込めて謝罪し、相手の気持ちを受けとめることが重要です。
・お手数おかけしてしまい申し訳ございません
・ご不便をおかけし、申し訳ございません
また用件を伺う際は、内容を復唱しながら確認し、重要なポイントをメモします。クレーム対応時の不手際は深刻会になる可能性もあるため、担当者への取り次ぎは慎重に行うべきです。相手の状況や用件、要望などを正確に把握して伝えることが重要です。さらに、取り次ぐ際は相手をどのような状況で待たせているかも伝えると丁寧です。
・電話を保留にして、相手を待たせている
・今日中に折り返しの連絡をする旨を伝えた
折り返しの連絡が必要な場合は、連絡先や希望日時なども詳しく伺っておきます。取り次いだ際に一時対応者と同じ対応をさせないために、自分がどのように対応したのか・相手の様子など正確に伝えましょう。
クレーム対応する際は相手の意見を尊重する姿勢を示します。締めくくりのあいさつに、意見をいただいたことへの感謝やいつでも相談してほしい旨を伝え、相手に安心してもらえるよう配慮しましょう。
・今後もお気づきの点がありましたら、お問い合わせください
・今後も何かご要望がありましたら、お気軽にお問い合わせください
・このたびは貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました
電話対応で取り次ぎ時の質を高めるポイント
ここでは、電話応対スキルをさらにアップさせたい人に向けて、電話取り次ぎ時の質を高めるポイントを解説します。
メモを的確に取る
担当者へ用件や問い合わせ内容を確実に伝えるためには、メモを的確に取ることが重要です。
上手に情報を把握するためには、相手の情報や問い合わせ内容について、普段からメモを取る習慣をつけましょう。メモの内容は誰が確認しても分かるように、要点を箇条書きにすると効果的です。
・相手の会社名
・部署名、名前
・電話番号
・用件
・状況(緊急案件・クレームなど)
・折り返しする場合の都合の良い時間帯
メモを取る際は復唱しながら確認し、聞き間違いや認識違いを防ぎましょう。
優先順位をつける
複数の問い合わせが重なるときは、優先順位をつけることが大切です。特に、クレームや経営判断を伴う緊急性の高い問い合わせなどは、最優先で取り次ぎましょう。
ただし、複数件の問い合わせを一度に受けた場合に、優先順位の決め方に困ることもあるかもしれません。電話を取り次ぐ際の優先順位を事前に決め、会社全体で周知しておくと取り次ぐ際もスムーズに対応できるでしょう。
代替手段を決めておく
外出・出張など、不在の多い担当者への取り次ぎは容易ではありません。しかし、代理担当者などあらかじめ代替手段を決めておくとスムーズに対応できます。
担当者によって外出・出張の有無など状況が異なり、問い合わせ内容もさまざまです。不在になりやすい担当者とは、事前に取り次ぎ方法を相談しておきましょう。
<代表的な代替手段>
・メモを残して戻り次第折り返す
・業務用の携帯に連絡し折り返しを促す
・社内にいる代理担当者へつなぐ
また、よく問い合わせを受ける取引先や用件がある場合は、取次方法をリスト化して社内で共有しておくと役立ちます。その場での取り次ぎが難しい場合でも、スムーズに対応できると相手の満足度を向上させられるでしょう。
営業時間外の対応を決めておく
営業が終了している時間でも、取引先から電話が来ることがあります。時間外の問い合わせは緊急度が高い可能性があり、営業を終了しているからといって無視はできません。万が一、営業時間外に問い合わせの電話を受けた場合は、営業が終了している旨を伝え、担当者が不在時と同様に取り次ぎましょう。
ただし、これは残業中の従業員がいる場合に限ります。社内に人がいない時間帯では、対応が難しいこともあるでしょう。時間外の電話取りこぼしを失くしたい場合は、IVR(電話自動応答)の併用もおすすめです。
IVR とは「Interactive Voice Response」の頭文字を取って表現されている機能で、受電した電話に自動で対応するシステムです。24時間365日いつでも自動対応が可能で、営業時間外の問い合わせ電話を転送して受ける必要もありません。よくある質問に対してあらかじめ回答を用意できるため、電話応対の品質を統一できるのも魅力の一つです。
営業時間外の電話対応は、新規取引先からの問い合わせや緊急性が高い案件の場合があるため、電話の取りこぼしは避けたいところです。従業員のいない時間帯はIVRを活用することで、受電記録が残り、後から連絡することができます。丁寧な対応と業務効率化の両立を目指しましょう。
24時間365日、自動音声で対応できる「ソクコム」について詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。
会社全体で取り組める電話対応の品質アップ方法
ビジネス電話は誰がいつ受電するか分からないため、会社全体で電話対応の品質アップを目指すべきです。ここでは、会社全体で取り組める効果的な品質アップ方法を解説します。
振り返り習慣の定着させる
日々の電話対応において、スムーズにできたところや問題があったところについて、振り返る習慣をつけることが大切です。自分ではうまく取り次ぎできたと感じていても、取り次ぎ先の担当者は改善してほしいと考えている可能性があります。フィードバックとして、担当者から良かった点や改善点などを教えてもらうのもよいでしょう。
担当者と取り次ぎ方法を擦り合わせておくと、互いの要望や問題点などが把握できるため、業務の効率化が期待できます。また、電話対応が上手な先輩社員にアドバイスをもらうことも品質アップに効果的です。
電話対応の上手な人の特徴や電話対応が上手くなる練習方法については、以下の記事で解説しています。
電話対応の方法をマニュアル化する
ビジネス電話の取り次ぎで一定の品質を保つには、マニュアルの作成が有効です。通常の問い合わせ・緊急時・クレーム時など、ケースごとに話す言葉や取り次ぎ先をある程度まとめておくことで、電話対応に慣れていない人でも安心して対応できます。電話取り次ぎの品質を統一させるためにも電話対応マニュアルやガイドラインを作成し、会社全体で共有しておきましょう。
マニュアルは好事例や失敗事例をもとに作成すると分かりやすく、同じ不手際で取引先に不快な思いをさせる失敗を防げます。また、マニュアルやガイドラインは定期的に見直し、従業員がスムーズに業務を遂行できるよう最適化していきましょう。
電話対応のマニュアルについて詳しく知りたい人は下記の記事を参考にしてください
IVRを導入し業務を標準化する
受電時の対応をIVR(電話自動応答)に任せることで、簡単な問い合わせに自動対応でき、電話対応における品質を標準化できます。IVRは受電時に自動音声が流れるため、従業員による対応スキルの違いがありません。電話対応の教育に費やしていた時間や人件費などのコストも削減できるでしょう。
さらに、発信者が問い合わせ内容に合わせてボタンを押すため、聞き間違いなどの人的ミスを削減できるのもメリットです。企業向けコミュニケーションツールの「ソクコム」のIVR機能なら、問い合わせ内容に沿って自動振り分けを行い、必要な問い合わせのみ担当者へつなぎます。従来の、担当者にすべて取り次ぐフローとは異なり、重要度の高い問い合わせのみピックアップできるため、業務の効率化が目指せます。
IVRを導入して業務標準化を図り、顧客満足度や業務効率化の向上に努めましょう。
まとめ|電話対応の取り次ぎをスマートにこなそう
ビジネスシーンでは、電話対応時に取り次ぎは重要な業務の一つであり、適切な対応が求められます。電話の相手からは「会社の顔」と見なされるため、失礼のない対応法やマナーを身に付けておくことが大切です。
電話の取り次ぎが苦手な方もシーン別の対応方法を理解し、質を高めるポイントを意識すれば、自信を持って電話対応に臨めます。また、電話対応マニュアルやガイドラインを作成しておくと、品質の安定化を図れるでしょう。
会社全体で電話対応の品質向上を目指すには、IVRの導入もおすすめです。自動応答により安定した品質を保ち、顧客満足度や業務効率の向上につなげましょう。