2024.08.06
CTI連携とは?メリットや必要なシステム・仕組みをわかりやすく解説
コールセンター、インサイドセールスなどの電話業務では、電話とコンピュータを連携させるCTI(Computer Telephony Integration)が不可欠です。このCTIを他のシステムと連携させることにより、入電時の顧客データの確認ができ、オペレーターの負担軽減に役立ちます。結果、業務の効率化が実現でき、電話の待ち時間を減らせるため顧客満足度向上にもつながるでしょう。
しかしCTIを導入する際は、既存の顧客リストとの整合性やセキュリティ対策、システム連携の種類や運用方法など、さまざまな知識を身につけておくことが重要です。
当記事ではCTI連携についてメリットや必要なシステムについて解説しました。CTI連携を導入する際の参考にしてください。
コミュニケーション業務の
生産性向上を実現
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- 目次
-
- CTI連携とは?
- CTI連携のメリット
- オペレーターの業務効率化
- 顧客満足度が向上
- 人件費や通信費の削減
- CTI連携の主な機能
- 顧客からの電話を担当者に直接つなげられる
- オペレーターの適切な振り分けが可能
- 通話相手の情報確認
- 通話録音・文字起こし機能
- CTI連携できるシステム
- PBX
- CRM
- SFA
- 音声認識システムとの連携
- チャットボットとの連携
- CTIの種類
- インバウンド型
- アウトバウンド型
- クラウド型
- オンプレミス型
- CTI連携に必要なもの
- 電話回線
- PBX(電話交換機)
- CRM(顧客管理情報システム)
- CTI連携に確認するべきポイント
- 業務体系に適しているか
- 既存のシステムと連携は可能か
- セキュリティの確認
- まとめ
CTI連携とは?
CTI とは「Computer Telephony Integration」の略で、コンピュータと電話・FAXを連携させるシステムのことです。また、CTI連携とは、コンピュータで管理している顧客データを電話やFAXに連携させて、電話の着信とともに顧客情報を表示させたり、ワンクリックで架電したり、電話業務を効率化させることを指します。
正確でスピーディな対応が求められるコールセンターを中心に、電話営業、アンケート調査、インサイドセールスなどの業務領域で、CTI連携の導入が進んでいます。
CTI連携のメリット
CTI連携には導入側、顧客側の双方にメリットがあります。以下で説明します。
オペレーターの業務効率化
コールセンターでは、顧客からの着信に対して正確でスピーディな対応が求められます。この際、CTI連携がなされていると、着信時に顧客情報を瞬時にモニターに映し出すことが可能です。また、問い合わせの内容によって、自動でオペレーターに振り分けることも可能になるため、顧客をオペレーター間でたらい回しにすることもありません。
近年のオペレーター業務は、顧客からの質問に答えるだけでなく、情報提供やクレーム処理など複雑化しています。オペレーターの負担増は、対応力の低下や離職につながる可能性があります。CTI連携で業務を効率化することで企業全体の生産性が高まり、さらには業績の改善にもつながるでしょう。
顧客満足度が向上
CTI連携で電話業務を効率化することは、顧客満足度の向上にもつながります。CTI連携を活用した例を紹介すると、顧客から2回目以降の問い合わせの際に、着信とともにモニターに顧客情報がポップアップ表示されます。オペレーターは、前回の問い合わせ内容や対応したオペレーターなど過去の情報をモニターで確認できるため、スムーズな対応が可能です。スピーディな対応こそ、顧客がオペレーターに求めるスキルと言えるでしょう。
近年は、チャットサービスでの問い合わせ対応が増加しています。ただし、現状ではきめ細かな対応とは言い難く、直接オペレーターに要望を伝えられるコールセンターの存在は貴重です。だからこそコールセンターには、正確性や迅速性など、さらなるサービス品質の向上が求められています。
人件費や通信費の削減
CTI連携することで、受電と架電の件数を管理できます。受電の少ない時間帯はIVR(自動音声応答)で対応したり、オペレーターが聞き取った情報を自動的にテキストデータ化して管理したりするなど、CTI連携ならではの機能を駆使した業務効率化が可能です。これにより、オペレーターの負担軽減や人件費の削減にもつながります。
またコールセンター業務では、オペレーターによって対応スキルにバラつきがあることが課題となりがちですが、CTI連携を活用すればオペレーターのスキルに応じて受電の内容や頻度を振り分けることも可能です。さらに、通話時間の短縮により通信費を削減できるのもメリットです。
CTI連携の主な機能
さまざまなメリットがあるCTI連携ですが、ここでは主な機能を紹介します。
顧客からの電話を担当者に直接つなげられる
CTI連携では、登録している顧客情報をモニターで確認できるため、受電の際にオペレーターがスムーズに対応できます。コールセンターでは、同じ顧客からの問い合わせが複数回にわたることも少なくありません。そのたびに同じ内容をオペレーターに説明するのは、顧客にとって大きなストレスとなります。
特に、クレーム対応は気を付けたいポイントです。コールセンター側で顧客情報を事前に把握して適切な対応ができると、迅速な問題解決につながります。
オペレーターの適切な振り分けが可能
CTI連携をすることで、オペレーターへの着信頻度を振り分けることが可能です。 オペレーターのスキルレベルや稼働状況など、あらかじめ設定したルールにより最適なオペレーターに着信を自動分配します。
例えば、専門知識の有無や習熟度によって着信を振り分けたり、オペレーターの待機時間の長さや着信応答数によって優先順位を変えたりすることもできます。
通話相手の情報確認
通話履歴を元に、顧客情報をPCのモニターにポップアップ表示できることがCTI連携の特徴です。受電とともに自動的に顧客情報が表示されるため、通話する前に顧客の情報が得られ、スムーズに対応できます。
通話録音・文字起こし機能
CTI連携では、通話内容を録音可能です。音声認識AIを搭載したサービスでは、オペレーターと顧客の会話を自動で文字起こしできます。会話を音声や文字などのデータとして保存することで、通話後に内容を確認できるため、聞き漏らしや行き違いなどが減ります。
通話録音は、万が一顧客とトラブルが発生した場合のエビデンスとしても役立ちます。ほかにも録音データは、オペレーターの研修材料やフィードバックに利用できるため、コールセンター全体の応対品質向上にも貢献できるでしょう。
CTI連携できるシステム
CTI連携できるシステムには以下のものがあります。
システム | 特徴 | 効果 |
---|---|---|
PBX | 複数の電話機をネットワークでつなげる | 発着信情報と顧客情報が紐づけられる |
CRM | 顧客情報の管理ができる | 応対品質向上 |
SFA | 営業支援に特化している | 架電営業の効率化 |
音声認識システム | 人間の音声を認識、解析する | 顧客対応の自動化 |
チャットボット | 対話型の対応ができる | 24時間対応可能 |
それぞれの詳細を解説します。
PBX
PBXとは「Private Branch Exchange」の略で、構内交換機を指します。家庭用の電話は、1つの電話番号に対して1つの電話機で対応しますが、PBXを導入すれば、複数の電話機で着信の仕分けや転送が可能になります。PBXのデータをCTIと連携させることで、複数の電話機をネットワークでつなぎ、発信者と顧客情報の紐付けができます。
PBXには、アナログ回線を使用するレガシーPBXのほかに、IP-PBXとクラウドPBXがあります。IP-PBXは電話回線をIP電話に振り分けるシステムで、クラウドPBXはインターネットを通してクラウド上のPBXにアクセスするシステムです。この2つは設置場所や機器、コストに違いがあるため、自社に合ったシステムを選択する必要があります。
CTIとPBXについては以下の記事で詳しく解説しています。
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客管理システムを指します。CTIとの連携により、着信と同時に顧客情報がポップアップ表示されるため、当該の顧客と初めて対応するオペレーターでもスムーズにやりとりができます。また、登録されている電話番号をクリックするだけで発信できるため、操作負担の軽減や誤発信の防止にも効果的です。
上記のように、CRMとCTIを連携させることで、さらなる業務効率アップが図れます。
CRMの代表例として、以下でsalesforceとkintoneを紹介します。
salesforce
salesforceは、顧客管理に特化したクラウド型ビジネスプラットフォームです。CRMでは世界シェア№1で機能も多く、Pardot(見込み顧客の行動分析)やService Cloud(顧客サポート)など、必要な機能を選択できるのが特徴です。
kintone
kintoneはサイボウズ株式会社が提供しているクラウドサービスです。特徴は、顧客情報の管理や日報、プロジェクト管理、受発注管理などを一元化できることです。「営業支援(SFA)パック」では、顧客情報と紐づけて、案件情報や商談履歴を蓄積し、営業に活用できます。
SFA
SFA「Sales Force Automation」とは営業支援に特化したシステムを指し、CTIとの連携により営業に不可欠な架電業務の効率化が見込めます。営業メンバーの行動管理や商談の進捗状況管理、商談結果などのデータ蓄積も可能で、営業活動の効率化やフィードバックに役立ちます。生産性と顧客満足度の向上を実現し、企業の競争力を強化する役割を果たす、大企業向けのシステムです。
音声認識システムとの連携
音声認識AIが搭載されたシステムは、リアルタイムで音声を認識しテキストデータ化することが可能です。また、CTIと連携することで、顧客への対応を自動化し、よくある質問や手続きを処理するためにも使用されています。通話量を分類・整理することで、コールセンターでの業務効率化も見込めます。
チャットボットとの連携
チャットボットとは、テキストで人と対話ができるプログラムです。CTIと連携すれば、顧客が24時間いつでも対話できるようになるため、オペレーターの業務負担の軽減につながります。チャットボットでは、あらかじめプログラムされた回答を提供するため、一貫性のある対応が可能です。多くの場合、多言語にも対応するため、グローバルなユーザーに対しても適切なサポートを提供できます。
CTIの種類
CTIにはさまざま種類があり、業務内容や業種によって適切なものを選ぶ必要があります。
CTIの種類 | 特徴 | 採用に適した場所・業務 |
---|---|---|
インバウンド型 | 受電に特化 | ・商品の注文受付 ・顧客からの問い合わせ対応 |
アウトバウンド型 | 架電に特化 | ・電話営業 ・アンケート調査 |
まずインバウンド型とアウトバウンド型の違いについて解説します。
インバウンド型
インバウンド型は、主に受電を目的としたサービスです。商品の注文受付、顧客からの問い合わせなど、受電する割合が多い業務に適しています。CRMシステムを使って着信時に顧客情報を表示させることで、オペレーターの負担を軽減し、顧客満足度をより向上させることが可能です。コールセンターやカスタマーサポート部門で多く採用されているのがこのインバウンド型です。
アウトバウンド型
アウトバウンド型は、オペレーターから外部へと発信することを目的にしています。電話営業やアンケート調査など、顧客に対してアプローチする架電業務に広く使用されています。インバウンド型と対照的に、ある条件で表示された顧客情報を確認して架電します。オートコール機能を使用すると、接続中の電話が終了したタイミングで次の番号に自動発信することも可能になるため、業務の効率化が図れます。アウトバウンド型のCTIサービスにも、折り返しに対応できるポップアップ機能を搭載したものがあります。
次に、クラウド型とオンプレミス型の違いを見ていきます。
CTIの種類 | 特徴 | 採用に適した場所・業務 |
---|---|---|
クラウド型 | ネット回線を使用 サーバー設置の必要なし | スタートアップ テレワーク |
オンプレミス型 | 自社にサーバーを設置 セキュリティ重視 | 大量のデータや連携システムを扱う業務 |
クラウド型
クラウド型は、サービスを提供している企業のサーバに接続することでCTI機能を利用できるため、自社サーバを設置する必要がありません。コストを抑えられることから、スタートアップ企業におすすめです。また、人数の変化に柔軟に対応できることが特徴で、小規模な企業やテレワークにも適しています。
ただ、インターネットに接続する必要のあるクラウド型は、インターネット障害が発生した際や、サーバに不具合が生じた場合に、CTIが使用できなくなってしまうデメリットがあります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、企業が運営するサーバ内にCTIを設置する仕様を指します。すでに自社サーバでシステムを構築している場合や、自由にシステムをカスタマイズしたい場合におすすめです。
CTI連携しているコールセンターについては以下の記事で解説しています。
オンプレミス型は、カスタマイズ性が高いことと電話料金のみで運用できることがメリットです。しかし、クラウド型に比べると導入コストや設置時間がかかり、サーバの設置場所も確保する必要があります。また、ユーザーが増えた場合、システムを増設する必要があるため、ハードウェア・ソフトウェアの購入やシステムの運用・開発に追加コストがかさむ可能性があります。
CTI連携に必要なもの
CTI連携に必要なものは、大きく分けて電話回線、顧客管理(CRM)システムを搭載したコンピュータ、そして2つをつなぐCTIソフトの3点です。
電話回線
CTI連携にはまず電話回線を用意する必要があります。電話回線は、アナログ、INS、ISDN(デジタル回線)、IP電話、光回線など、さまざまな種類が利用可能です。システム導入の前に現在利用している回線の種類を確認しておきましょう。
PBX(電話交換機)
CTI連携では、電話を内外線の振り分けを担当するPBX(電話交換機)との連携が必須です。これにより、電話とコンピュータが連携し、着信時に顧客情報が自動的に表示されるなどさまざまな機能が使えるようになります。
CRM(顧客管理情報システム)
既存のCRM(顧客管理情報システム)がある場合、CTIと連携させるとよいでしょう。これからコールセンター業務や電話営業のためにCTI連携を検討している場合は、CTI機能を組み込んだCRM(顧客管理情報システム)を採用するのも一つの方法です。
CTI連携に確認するべきポイント
CTI連携の前に確認しておきたいポイントは、以下のとおりです。
業務体系に適しているか
CTI連携を自社の業務でどのように活用するかを事前に明確にしておく必要があります。その上でインバウンド型、アウトバウンド型などCTIの種類を決定しましょう。
見極めるポイントとしては、通話量、現行システムとの互換性、将来の拡張計画、セキュリティなどが挙げられます。
既存のシステムと連携は可能か
CRMや他の業務システムなど既存のシステムがある場合は、CTI連携が可能かを事前に確認しておくことが重要です。連携できない場合は最初から構築する必要があり、コストがかかるため注意しましょう。
セキュリティの確認
顧客情報を多く扱うCTI連携は、セキュリティ対策が万全でなければなりません。通話データや顧客情報が保存される際に適切に暗号化されているかどうか、システムにアクセスするユーザーの権限が適切に管理されているかを事前を確認することが大切です。
特にクラウド型のCTIを採用する場合、インターネット上のサーバと連携するため、オンプレミス型よりも情報漏洩のリスクが高くなります。セキュリティ性の高いデータセンターに情報を保管できるかどうかが採用の決め手になります。
まとめ
CTIをPBXやCRMなどと連携することにより、顧客情報管理、通話録音、文字起こしなど、電話業務を効率化するための幅広い機能を実現可能です。電話業務で高度な顧客サービスを提供し、競争力を維持・発展させるためには不可欠なシステムです。
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