2024.08.30
IVR導入ガイド|メリットや注意点から費用目安・選び方までを解説
ビジネスにおける顧客接点の自動化は、顧客満足度の向上と業務の効率化を両立して実現するうえで不可欠な要素です。電話対応を自動化するIVRシステムは、企業の成長を力強く後押しするソリューションとして注目されています。
この記事では、IVRシステムの導入を検討している企業に向けて、IVRシステムの基礎知識からメリット・注意点、費用目安、選び方のポイントまで、わかりやすく解説します。電話対応業務の効率化、そして顧客満足度向上に役立ててください。
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- 目次
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- IVR(自動音声応答システム)とは?
- IVRの機能
- IVRの種類
- IVR導入のメリット3選
- 1.業務効率化とコスト削減が図れる
- 2.顧客満足度の向上につながる
- 3.データ分析による業務改善を図れる
- IVR導入における注意点
- IVR導入を成功させるための3つのポイント
- 1.シナリオ設計
- 2.簡潔なガイダンス設定
- 3.導入後の見直し・改善
- IVR導入費用の目安
- IVRの種類ごとの費用目安
- IVR機能を含むクラウドPBXの費用目安
- IVRシステムの選び方
- 必要な機能を明確にする
- 導入規模と予算を検討する
- 将来的な拡張性も考慮する
- 成功事例やトライアルでの使用感を確認する
- IVR導入なら「ソクコム」がおすすめ!
- IVR導入で顧客満足度と業務効率を向上させよう
IVR(自動音声応答システム)とは?
IVR(Interactive Voice Response)は「自動音声応答システム」のことです。このシステムは、企業の顧客電話対応を効率化するために使用されています。自動音声ガイダンスを流し、顧客が電話機のボタンを押して選択した番号に基づいて、自動で回答したり、適切なオペレーターに転送したりする機能をもっています。
近年では、コールセンターやカスタマーサポートをはじめ、公共機関や金融機関など、幅広い分野で導入が進んできました。IVRシステムを導入する前に、まずは機能や種類を把握しましょう。
IVRの機能
IVRシステムには、電話業務の効率化や顧客満足度の向上に役立つさまざまな機能があります。以下に代表的な機能を紹介します。
・音声ガイダンス:プッシュホン操作の案内や営業時間外の案内など、さまざまな情報を音声で提供
・電話転送・複数転送:入電内容に応じて、適切な担当者や部署へ自動的に転送
・音声録音:通話内容を記録
・SMSの自動送信:IVR対応後に自動でSMS送信
・受電通知連携:受電履歴を関連システムに通知
・音声認識:AIが顧客の音声を認識して対応
これらの機能を組み合わせると、さまざまなニーズに対応するIVRシステムを構築できます。
IVRの種類
IVRシステムには、大きく分けて以下の3種類があります。
・オンプレミス型:企業が自社内にIVRシステム用のサーバーやソフトウェアなどを設置・運用するシステム
・クラウド型:インターネット経由でIVRシステムを提供するサービスを利用するシステム
・ビジュアル型:Webサイトやアプリを活用して音声案内を視覚化するシステム
導入の際は、それぞれの特徴を把握したうえで、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。それぞれのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
IVRシステムの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
オンプレミス型 | ・セキュリティ面で安心感がある ・自社専用のシステムを構築でき、柔軟性が高い ・ランニングコストを抑えられる場合がある | ・初期費用が高額になりがち ・システムの導入に時間がかかる ・運用・保守を自社で行う必要がある |
クラウド型 | ・初期費用を抑えやすい ・導入までの期間が早い ・システムの運用や保守をサービス提供会社に任せられ、運用負荷が低い | ・カスタマイズ性が低い ・ベンダーによりセキュリティリスクが変動する ・インターネット環境に依存する |
ビジュアル型 | ・直感的で操作しやすい ・顧客自身が解決できる範囲が広がる ・電話以外のチャネルにも対応可能 | ・回答までに時間がかかる ・開発に専門知識が必要になる場合がある ・すべての顧客が快適に利用できるとは限らない |
オンプレミス型は「セキュリティレベルの高いシステムを構築したい」「独自のシステムと連携させたい」「カスタマイズによって、より自社に最適な状態を構築したい」といった企業におすすめのIVRシステムです。一方、クラウド型は「コストを抑えてIVRシステムを導入したい」「早期導入・運用開始を目指したい」「今後の事業拡大に応じて機能拡充も検討している」と考える企業が適しています。
ビジュアル型は「より顧客に寄り添ったサービスを提供したい」「テキストや画像など、音声以外の方法でも顧客対応を行いたい」「Webサイトやチャットボットとの連携を図りたい」などの希望をもつ企業で導入するとよいでしょう。IVRシステムについては、以下の記事も参考にしてください。
IVR導入のメリット3選
企業がIVRシステムを導入すると、業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上などのメリットがあります。また、データ分析による業務改善も図れるでしょう。IVRシステムの導入がもたらすメリットをそれぞれ解説します。
1.業務効率化とコスト削減が図れる
IVRシステムの導入は、電話応対業務の効率化とコスト削減を実現できます。顧客を適切な担当者や部署に自動的につなげられるようになると、オペレーターの対応時間を短縮できます。
また、よくある質問への自動対応の充実化により、顧客はオペレーターを介さずに問題解決が可能です。結果として、オペレーターはより複雑な問い合わせ対応に集中できるようになり、業務効率の向上を図れます。
顧客を待たせることなく、24時間365日自動音声で応答できることで、応答率も向上します。必要なオペレーター数を最小限にとどめられ、人件費などのコスト削減にもつなげられるでしょう。
コールセンターでIVRシステムの導入を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。
2.顧客満足度の向上につながる
IVRシステムを導入すると、企業の成長に欠かせない要素の一つである顧客満足度を向上させる効果も期待できます。24時間365日対応できるようになるため、顧客は営業時間内にかけて電話がつながらないという状況を避けられ、利便性が向上するでしょう。
待ち時間の短縮で、オペレーターにつながるまで待つというストレスも軽減できます。また、IVRシステムによっては多言語対応も可能であるため、対応品質が向上し、顧客層の拡大も図れます。
顧客満足度は、顧客ロイヤルティや口コミによる評判の向上、売上増加などにもつながる重要な要素です。IVRシステムの効果的な活用で、企業の将来性に良い影響をもたらす可能性があります。
3.データ分析による業務改善を図れる
IVRシステムを顧客管理機能と連携すると、顧客のニーズや行動を把握しやすくなるため、データ分析により業務改善にも役立ちます。例えば「IVRシステムで対応した件数や顧客がどのようなメニューを選択したか」などの情報が活用できます。特定の商品の問い合わせが急増していることが判明すれば、ホームページの商品情報をわかりやすくしたり、キャンペーンを実施したりするなどの施策を立てられるでしょう。
また、IVRシステムで解決できなかった問い合わせ内容を分析して、オペレーターの応対品質向上やFAQの改善に役立てることも可能です。
IVR導入における注意点
IVRシステムは、適切な活用により業務効率の向上などに大きく貢献できますが、導入や運用方法を誤ると顧客満足度を低下させてしまう可能性があります。スムーズな問題解決を図れない場合、顧客にストレスを与え、企業イメージを損なうリスクがあります。
顧客満足度の低下につながる主な要因は、以下のとおりです。
・複雑でわかりにくい音声ガイダンス
・オペレーターへのつながりにくさ
・機械的な対応への抵抗感
複雑なメニュー構造や長すぎるガイダンスは、顧客を混乱させ、目的の操作にたどり着く前に離脱させる原因になります。また、IVRシステムで用件が解決しない場合にオペレーターへスムーズにつながらなければ、不満が生じるでしょう。自動音声は冷たい印象を受ける顧客もいるため、人間味のある対応を求めている場合には受け入れがたさを感じる可能性もあります。
これらを予防するためには、顧客目線に立ったわかりやすく使いやすいIVRシステムを構築したり、オペレーター体制を見直して待ち時間を短縮したりするなどの工夫が必要です。
IVR導入を成功させるための3つのポイント
IVRシステムの導入を成功させるためには、丁寧なシナリオ設計や適切なガイダンス設定が必要であり、さらに導入後にも見直して改善を図らなければなりません。導入を成功させるためのポイントを3つ解説します。
1.シナリオ設計
顧客満足度を向上させるIVRシステムを導入するためには、適切なシナリオ設計が不可欠です。とはいえ、顧客のニーズや状況は多岐にわたるため、すべてのケースを想定したシナリオを作成することは容易ではなく、専門知識や経験を必要とする場合もあります。
例えば、以下のような状況を想定した設計が必要となるでしょう。
・営業時間外の対応:営業時間外のガイダンスと簡単な問い合わせ対応(FAQへの誘導など)
・複数の部署にまたがる問い合わせ:部署間の転送や担当者不在時の対応(折り返し電話やメッセージの録音など)
これらのシナリオ設計が不十分である場合、スムーズな対応ができず、かえって顧客満足度を低下させてしまう可能性があります。目的のメニューにたどり着けない場合には、音声ガイダンスの内容やメニュー構成を見直さなければなりません。設計する際は専門業者への依頼も視野に入れ、顧客のストレスを軽減できるよう、わかりやすさを心がけることが大切です。
2.簡潔なガイダンス設定
IVRシステムの導入を成功させるためには、適切なガイダンス設定が重要です。わかりづらいガイダンスは顧客の不満を招くだけでなく、生産性の低下にもつながります。
ガイダンス設計のポイントは、簡潔にすることです。主に、以下の内容をわかりやすくしましょう。
・冒頭に流すガイダンス
・メニュー階層や選択肢
・言葉遣いや表現
IVRシステムでは、多くが冒頭部分で「顧客対応向上のために通話内容を録音している」という内容を説明します。冒頭の説明が長いと顧客のストレスにつながる可能性があるため、簡潔さが大切です。
また、メニュー階層が複雑になると、顧客は選択肢を把握しにくくなってしまいます。選択肢は多くても3~4階層程度を目安に設定するとよいでしょう。わかりやすい表現や言い回しで設定すると、誰が聞いても理解できるようなガイダンスになります。
3.導入後の見直し・改善
IVRシステムの導入後にも、運用状況は定期的に見直し、改善していくことが重要です。アップデートしていかなければ、効率的な運用はできず、顧客満足度に影響する可能性もあります。
導入後の見直しでは、以下のような改善策を検討する必要があるでしょう。
・IVRのシナリオ設計の見直し
・オペレーター体制の見直し
・データ分析
顧客ニーズの変化に合わせて、音声ガイダンスの内容やプッシュボタンの選択肢は適宜見直します。また、IVRシステムで対応できない複雑な問い合わせやクレームには、オペレーターが適切に対応できるよう、スキルアップや配置の見直しも必要です。ほかに、FAQの充実やマニュアルの改善を図る方法もあります。
IVRシステムの導入後は、利用状況や顧客の行動履歴などのデータを分析し、問題点や改善点を見つけ出すのも適切な運用のために効果的です。運用状況を定期的に見直し、改善していくと、顧客満足度と業務効率を向上させられます。
IVR導入費用の目安
IVRシステムの料金は、初期導入費用や月額基本料、付加機能使用料などで構成されています。1日あたりの想定コール数、必要な機能の種類と複雑さ、システムのカスタマイズ程度などに応じて、費用は変動するでしょう。IVRシステムを導入するときの費用目安を紹介します。
IVRの種類ごとの費用目安
IVRシステムは、種類ごとで、以下のように費用の目安も異なります。
IVRシステムの種類 | 初期費用 | 維持費用(月額) |
オンプレミス型 | 数十万~数千万円 | 数万円 |
クラウド型 | ~5万円 | 数千~数万円 |
ビジュアル型 | ~50万円 | ~10万円 |
なかには、無料トライアルを提供しているIVRシステムもあり、使用感を確かめてから検討できます。
なお、初めてIVRシステムを導入する企業には、IVR機能が含まれているPBXの選択をおすすめします。PBX(Private Branch Exchange)とは、外線と内線、内線同士の接続を制御する電話交換機のことです。システム内には、内線接続や外線接続、応答後の転送、保留などの基本的な電話機能が搭載されています。
IVRシステムの費用については、以下の記事も参考にしてください。
IVR機能を含むクラウドPBXの費用目安
クラウドPBXの場合、インターネット環境さえあれば導入できるため、固定電話だけでなく、スマートフォンやタブレット、PCからも会社と同じ電話番号で通話できます。クラウドPBXサービスを提供するソクコムの料金は、以下のとおりです。
初期費用 | 無料 |
---|---|
月額費用(税込) | ・1,480円/ユーザー ・2,000円/チャネル ・500円/番号+α |
ソクコムは、導入にかかる初期費用や通話料を削減できるほか、拡張性も高く、アップデートも容易です。顧客情報の一元管理もしやすくなるため、業務効率の向上に役立ちます。
クラウドPBXの費用については、以下の記事も参考にしてください。
IVRシステムの選び方
自社に最適なIVRシステムを導入するには、いくつかの検討ポイントがあります。IVRシステムの選び方を解説します。
必要な機能を明確にする
IVRシステムを導入するときには、必要な機能を明確にすると、自社の課題解決に最適なシステムを選びやすくなります。例えば、顧客からの問い合わせ対応の効率化を図りたい場合は、以下のような機能をもつシステムを検討するとよいでしょう。
・電話への自動応答
・着信の自動振り分け
・自動的なコールバック予約(あふれ呼対策)
・休日や営業時間外の電話受付
・SMS連携による自動送信など
機能をうまく組み合わせられると、顧客を待たせることなく、スムーズな問題解決を図れます。顧客は音声ガイダンスに従って操作するだけで解決できるようになるため、顧客満足度の向上も期待できます。
導入規模と予算を検討する
IVRシステムは、自社の規模やニーズに合わせて検討することが重要です。小規模なコールセンターであれば、シンプルな機能で低価格なシステムでも十分に対応できる場合があります。一方で、大規模なコールセンターでは、より高度な機能を備えたシステムが必要となるケースもあるでしょう。
予算の上限を定めておき、IVRシステムの導入前には1日の電話件数や応対するオペレーターの人数など、自社の規模を把握し直すことが大切です。機能やカスタマイズ性、運用負荷なども考慮しながら、自社に最適なIVRシステムを選んでください。
将来的な拡張性も考慮する
IVRシステムの導入時には、将来的な拡張性も考慮します。ビジネスの成長や変化に合わせて、IVRシステムも柔軟に対応できる必要があるためです。例えば、以下の内容が挙げられます。
・回線数の増減
・機能の追加
・連携システムの拡張
・多言語対応
・AI連携
将来を見据えて、柔軟性・拡張性の高いIVRシステムを選ぶことが、長期的な投資対効果の向上につながります。
成功事例やトライアルでの使用感を確認する
IVRシステムを導入するときには、成功事例や使用感を事前に確認しておくと、自社の課題やニーズに合致しているかを把握できます。導入事例では、業種や規模が近い企業の成功事例を参考にすると、自社に最適なシステムのイメージが湧きやすくなります。顧客対応の効率化や顧客満足度の向上など、具体的な成果を参考にしながら、自社の課題解決につながるシステムかどうかを検討しましょう。
なかには、無料トライアルできるIVRシステムもあり、実際のシステムの操作性を体験することが可能です。トライアルでは、以下の内容を確認することをおすすめします。
・音声ガイダンス:音声の聞き取りやすさ、案内のわかりやすさ、言葉遣い、多言語対応など
・操作性:ボタン操作のしやすさ、メニュー構造のわかりやすさ、設定変更のしやすさなど
・機能:必要な機能が搭載されているか、カスタマイズの柔軟性など
・フォロー体制:導入前の説明会やデモンストレーション、導入後のシステム変更やアップデートへの対応など
これらのポイントを踏まえながら、自社の要件に合致したシステムを選ぶことが大切です。
IVR導入なら「ソクコム」がおすすめ!
ソクコムは「電話」「メール」「SMS」など、企業と顧客をつなぐコミュニケーションツールを一元化したオムニチャネル型コミュニケーションプラットフォームです。クラウドPBX機能により、複数設定の登録や変更が、ワンクリックで一元管理できます。
IVR機能では、電話の一次受付を自動音声にして、問い合わせ内容に沿って自動振り分けをしたり、発信時に定型メッセージをお客様へ音声で届けたりできます。ほかにも、SMSやEメールとの連携もでき、個別だけではなく一斉送信も可能です。
スムーズなお客様への対応によって顧客満足度の向上が期待でき、さらに繰り返し作業を人力でなくロボットで行うことで生産率向上も見込めます。IVRシステムの導入を検討している場合は、ぜひ一度ソクコムを検討してください。
導入事例は以下からご覧いただけます。
IVR導入で顧客満足度と業務効率を向上させよう
IVRシステムを適切に導入・運用すると、顧客満足度と業務効率を同時に向上できます。顧客は音声ガイダンスに従って操作することで迅速かつ的確なサービスを受けられ、企業側は電話対応業務を効率化でき、より重要な業務にリソースを集中できるようになるでしょう。
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