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2023.10.30

コールセンターの業務改善に役立つ事例5選!改善すべき事項とアイデア

コールセンターは顧客と直接コミュニケーションを取る窓口であり、多様化する顧客ニーズに対応する上でも重要な役割を持っています。人材不足が懸念される中、コールセンターも例外ではなく、人材確保や離職率の高さなどに悩む企業は多いでしょう。その他、対応力にバラつきがあり、顧客満足度や生産性に課題を持つケースも少なくありません。

今回は、コールセンターの業務改善に成功した事例を紹介するとともに、改善すべき事項や手順を解説します。窓口業務を見直して、顧客満足度や生産性の向上を図りたい企業は、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターにおける業務改善の必要性

近年、業界を問わず人材不足が深刻な問題となっています。特にコミュニケーションスキルが問われるコールセンターは、顔の見えない相手とのやり取りにストレスを抱えるオペレーターも多く、離職率が高い仕事の一つです。提供するサービスや商品について熟知する必要があるほか、クレーム対応など精神的な負荷がかかりやすい点が人材不足につながる理由といえます。

 

コールセンター業務は顧客と直接やり取りするため、業務改善を通して対応力が上がれば顧客満足度も上がります。また、現場の課題を見直して従業員が安心して働ける体制を築ければ、定着率の向上も見込めるでしょう。その結果、離職に伴う採用活動や人材育成に関するコスト削減にもつながります。

 

コールセンターだけでなく、電話対応の効率化に悩む一般企業も少なくありません。以下の記事では、電話対応に追われて仕事が進まない企業に必要な取り組みや、役立つツール・システムを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターの業務で改善が必要な事項

コールセンターの業務改善を円滑に進めるためには、改善すべき事項を把握することが大切です。ここでは、改善が必要な事項を4つご紹介します。

応答率の向上

応答率とは着信件数に対する対応件数の割合のことです。応答率が高いほど電話の取りこぼしが少ないと判断できます。応答率が低いと「電話がつながりにくい会社」という印象を持たれる可能性が高いでしょう。

 

一般的にコールセンターにおける応答率の目安は、90%以上が望ましいとされています。90%以下になるとオペレーター不足やスキル不足が考えられ、体制の見直しやスキルアップが必要になります。

対応品質の向上・統一

オペレーターの対応品質は、顧客満足度に大きな影響を与えます。適切な対応ができなければ、成約率が落ちる上にクレームに発展する可能性もあり、業務負担の増加につながるでしょう。

 

また、オペレーターによって対応にバラつきがある点も課題の一つです。誰が対応しても適切な受け答えができるように、品質を統一・標準化する必要があります。

 

オペレーターの印象は企業のイメージに直結するため、品質を維持できるような仕組みをつくったり定期的に研修を開いたりして、対応力の底上げを図ることが大切です。

対応時間の短縮

1件のお問い合わせにかかる時間を「対応時間」といいます。対応時間が長いとほかの顧客を待たせしてしまい、顧客満足度の低下につながります。

 

対応時間に関する課題を改善するためには、平均処理時間(AHT)を減らすことが重要です。平均処理時間(AHT)とは「Average Handling Time」の略称で、顧客と通話を始めてから後処理が終わるまでにかかった時間の平均値を指します。「平均通話時間+平均後処理時間」で算出され、数値が小さいほど短時間で多くの電話に対応できていることが分かります。

 

例えば、一度のお問い合わせで解決できなかった場合、複数回に渡る対応が必要です。できるだけ平均処理時間を減らすには、一次完結を目指さなければなりません。

稼働率の適正化

オペレーターが勤務時間内に顧客対応をする時間の割合を「稼働率」といいます。電話やチャットで対応している時間だけでなく、後処理にかかる時間も稼働率の対象です。

 

こうした顧客応対に直接関わる時間は「生産時間」、研修やミーティング、トイレ休憩などは「非生産時間」に分けられます。稼働率の算出方法は「(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)÷給与支払い時間×100」で、給与支払い時間には非生産時間も含まれます。

 

なお、稼働率が高いからといって生産性も高いとは限りません。一般的に稼働率は80~85%がよいとされており、数値が高すぎるとオペレーターが業務に追われている状態を意味し、結果的に対応品質が下がったり離職につながったりする恐れがあります。

 

一方で、稼働率が低すぎる場合も注意が必要です。オペレーターの数が飽和している状態を指し、余分な人件費がかかっている可能性があります。

離職防止・定着率の向上

コールセンター業務では、電話対応力や自社の商品・サービスに関する知識などが求められます。また、クレーム対応によって精神的なストレスを抱えるオペレーターも少なくありません。こうした背景もあり、オペレーターの離職率はほかの業種と比べて高い傾向にあります。

 

なお、離職率が高いと対応品質が安定しません。人材育成や採用活動などコストがかかる点もデメリットです。オペレーターが働きやすい環境を整えて離職率を下げることは、コールセンター業務改善における重要な課題といえます。

コールセンターの業務を改善する手順

コールセンターの業務を改善するには、以下に挙げる4ステップを踏む必要があります。それぞれのステップについて解説します。

1.現状や課題を明確にする

現状を把握して課題を明確にしなければ、業務改善には至りません。対応時間や稼働率、離職率など具体的な数値を洗い出した上で、コールセンター業務がうまく進まない原因を特定しましょう。

 

原因が明らかになると、改善方法を立てやすくなります。例えば、対応時間が長い理由や離職につながる要因が分かると、それに対する行動案を明確にできるでしょう。

 

なお、課題を洗い出す際は複数人で話し合うことが大切です。多くの視点で状況を洗い出すことで、課題の見落しを防げます。

2.KPIを設定する

課題の洗い出しができたらKPIを設定しましょう。KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、「重要業績評価指標」を意味します。目標達成に向けたプロセスにおいて、達成度合いを確認したり現状を把握したりするために役立つ指標です。

 

コールセンターの業務形態によって定めるべきKPIは異なりますが、主に以下のように分類できます。

 

  • 対応品質に関するKPI(応答率など)
  • 生産性に関するKPI(稼働率など)
  • 顧客満足に関するKPI(顧客満足度など)
  • オペレーター管理に関するKPI(離職率など)

 

なお、目標を立てる際は実現可能な範囲で設定しましょう。あまりに現状とかけ離れた目標だと、達成に向けてのアクションをイメージしづらいです。

3.運用・サポート体制を見直す

設定したKPIをもとに業務改善を図るには、適切な運用ができているかを随時確認することが大切です。KPIの達成具合を把握し、問題点があれば運用やサポート体制を見直す必要があります。

 

例えば稼働率が目標値から離れた場合、オペレーター数の調整や研修制度の拡充が挙げられます。ただし、改善点は一つとは限りません。複数のKPIが影響している可能性もあるため、多角的に分析して適切な対策案を出すことが大切です。

4.PDCAを回す

KPIを設定して改善策を実施していたとしても、すぐに効果を得られるとは限りません。どのような状況でも冷静に判断し、改善につなげるためにはPDCAサイクルを回すことが重要です。

 

PCDAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を組み合わせた言葉で、改善活動の段階を意味します。PDCAを継続的に回すことで、一時的な改善ではなく根本的な課題改善に向けて成長し続けることが可能です。

コールセンターの業務改善に成功した事例5選

コールセンターの業務改善に取り組む際は、他社の成功事例を参考にするとよいでしょう。続いては、成功事例を5つご紹介します。

生命保険会社の事例:チャットボット窓口で相談しやすい環境を提供

保険商品を販売する生命保険会社では、商品選びの相談ツールとしてLINEの企業アカウントを活用しています。

 

当初はオペレーターが対応するチャット方式でしたが、相談した顧客が身構えてしまいトーク画面から退室するケースが散見されました。こうした反応を踏まえて、チャットボット形式を導入した結果、自分に合う商品を気軽に見つけられる環境の提供が可能になりました。

 

ボット対応により顧客が性別や生年月日、希望する保障などを質問すると、適した保険商品が自動的に提示されます。診断の最後には、オペレーターに相談する選択肢を提示することで、見込み客に対するスムーズな商談を実現させています。

通信会社の事例:AI音声認識システムで業務の効率化・人件費を削減

インターネットプロバイダー事業を手がける通信会社では、全国に複数あるコールセンターを運営するにあたり、オペレーターの人材確保が課題となっていました。また、離職率が高いことから研修コストも深刻化していました。

 

こうした課題を解決に導いたのが、AI(人工知能)音声認識システムです。顧客からのお問い合わせをテキスト化できるほか、内容を要約して回答の提案までAIが行うため、お問い合わせ1件につき後処理の時間が平均90秒も短縮されました。

 

対応時間の短縮により人件費の削減に成功したほか、通話内容が視覚的に分かるようになったため、オペレーターの理解度が上がり応対品質の均一化にもつながっています。

証券会社の事例:稼働状況の可視化で課題改善の迅速化

Webサポートに関して高評価を得ているオンライン専業の証券会社では、近年大幅な動きを見せる株価によりコールセンターへのお問い合わせが一気に増え、電話がつながりにくい状況でした。オペレーターの知識不足に関するクレームも散見され、早急な改善が求められました。

 

対策として、コールセンターシステムを導入し稼働状況を可視化した結果、原因把握から解決に向けた取り組みまで迅速に対応でき、対応力の向上に成功しています。

 

取り組みとして研修や発声練習の実施、顧客からのフィードバックの共有を行いました。また、社内での情報共有を徹底し、PCDAサイクルを継続的に回している点も改善につながったポイントです。

不動産会社の事例:音声認識ソリューションの導入で顧客満足度アップ

集合住宅の建築や賃貸を営む不動産会社では、全国5ヶ所・合計360席のオペレーターを設け、より効率よく対応するための音声認識ソリューションを全席に導入しています。

 

システムの活用例として、対応力で高評価を得たオペレーターの音声を分析し、その結果をマニュアル化することで、これまで課題となっていた対応品質のバラつきを改善しました。また、質問内容に応じたFAQの自動表示によって、正確な案内を速やかに伝えられるようになり、業務の効率化・顧客満足度アップにつながっています。

銀行の事例:高度な人工知能活用による離職率軽減とコスト削減の実現

大手都市銀行では、コールセンターにおけるオペレーター支援システムを導入し、新人オペレーターの離職率軽減やコスト削減を実現しています。

 

オペレーター支援として、音声認識システムがお問い合わせ内容をテキスト化し、事前に登録した業務マニュアルやQ&A集をもとに、回答候補を提案することが可能になりました。

 

活用している人工知能の精度は非常に高く、オペレーターは提案される回答を参考に案内できるため、マニュアルを開く必要がありません。その結果、新人オペレーターの離職率は48%も減少しました。照会にかかるコストも、1件あたり60円削減しています。

 

その他、コールセンターのコストを削減する方法や注意点については、以下の記事もご覧ください。

コールセンターの業務改善につながるアイデア

ここでは、コールセンターの業務効率化や対応品質の統一を図る上で、役立つツールやシステム、仕組みをご紹介します。

マニュアルを完備して業務を標準化する

コールセンターにおける課題を洗い出し解決方法を見出したら、マニュアルを完備しましょう。マニュアル作成で大切なのは現場の声を聞くことです。各オペレーターにヒアリングを行った上で、精度の高いマニュアルを用意する必要があります。

 

マニュアルが整備されれば、経験値を問わず対応品質を統一させることが可能です。なお、作成したマニュアルは状況に応じて随時更新するようにしましょう。

チャットボットを導入する

チャットボットの導入も、コールセンターの業務改善に役立ちます。AIがテキストで自動的に対応するようになるため、営業時間に関係なくお問い合わせの受付が可能です。オペレーターも24時間待機する必要がなく、業務負担の軽減が期待できます。

 

スマートフォンやタブレットからのお問い合わせが可能になることで、顧客も気兼ねなく相談でき、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

在宅コールセンターを導入する

オペレーターの人材不足に悩む企業では、在宅コールセンターの導入もおすすめです。在宅勤務が可能になれば働き方の自由度が高まり、離職率の低下が期待できます。また、コールセンターの設置に必要な賃料や備品購入費、オペレーターに支給する交通費などのコスト削減にもつながるでしょう。

 

ただし、在宅コールセンターを安定的に運用するには、セキュリティの強化が必要です。万が一顧客情報や機密情報が漏れてしまえば、大きな損失につながります。また、対面でのオペレーター管理ができなくなるため、対応品質が下がらないように留意することも大切です。

 

在宅コールセンターの仕組みやメリット・デメリットについては、以下の記事をご覧ください。

多彩な機能を搭載したシステムを導入する

コールセンターの業務効率化を図るには、多機能なシステムを導入して業務を自動化する方法もあります。通話内容のテキスト化や案内メールの一斉送信、顧客データベースとの連携ができれば、生産性の向上や人件費などのコスト削減にもつながるでしょう。

 

また、インターネットを経由して電話の発着信を行うクラウドPBXも、コールセンター業務に役立ちます。インターネット環境が整っていれば、遠方にある営業所とも内線通話が可能です。また、私用のスマートフォンを使って会社の番号で発着信ができるため、外出中でも顧客からの電話に対応できます。

 

なお、クラウドPBXの費用や導入のポイントについては、以下の記事で解説しています。

コールセンターの業務効率化には「ソクコム」がおすすめ!

ソクコムの特徴を紹介したイメージ画像

ソクコムは、「電話」「Eメール」「SMS」などのコミュニケーションツールを一元化したオムニ型コミュニケーションプラットフォームです。

 

API連携や録音文字化、モニタリングなど便利な機能が揃っており、自社に必要な機能だけをカスタマイズしてご利用することが可能です。また、クラウドPBX機能を持つため、主装置の設置工事や電話機を購入する必要はありません。ヘッドセットやパソコン、インターネット環境があればすぐにでもご利用いただけます。

 

アウトバウンド・インバウンドどちらの業務にも対応しており、コールセンターの業務改善に役立ちます。ソクコムの機能や料金プランについては以下のページをご覧ください。

システムを見直して業務改善につなげよう

コールセンターは顧客と直接やり取りをする業務であり、オペレーターの対応力が問われます。運営に課題を感じている場合は、マニュアルの完備やチャットボット、在宅コールセンターの導入、多機能システムの活用など自社に合った対策を練る必要があります。円滑な課題解決を行い、離職率の軽減やコスト削減を目指しましょう。

 

「ソクコム」では、あらゆるコミュニケーション業務の効率化・生産性向上をサポートします。顧客データベースとの連携で、入電時に顧客情報を瞬時に把握することが可能です。管理画面から自社の運用に合わせて簡単に設定が行え、機能面も自由にカスタマイズできます。

 

システムを導入して業務改善につなげたい人は、ぜひ以下のページをご覧ください。

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