2023.12.27

コールセンターの理想的な稼働率とは?計算方法や関連するKPI、適切に保つ方法を解説

コールセンターにおいて、オペレーターが労働時間内に顧客応答した時間の割合を稼働率といいます。コールセンターを円滑に運営する上で重要な指標であり、適切な数値を保たなければさまざまな問題が発生しかねません。

今回は、コールセンターの理想的な稼働率を解説するとともに、計算方法や適切に保つ方法を解説します。また、稼働率に関連するKPIもご紹介するので、コールセンターの運営に課題を抱えている人はぜひ参考にしてみてください。

コールセンターにおける稼働率の基礎知識

コールセンターの稼働率を適正に保つには、概要やその他指標との違いを把握することが大切です。まずは、稼働率の基礎知識を解説します。

稼働率とは

稼働率とは

稼働率とは、オペレーターが勤務時間中にオペレーター業務に費やす時間の比率です。稼働率を計算する際は、顧客との電話対応にかかる時間に加えて、後処理や待機時間も含まれます。一方で面談やMTG、研修、休憩時間などはオペレーター業務から外され、稼働率には含まれません。

 

稼働率の計算式は以下の通りです。

稼働率=(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)÷勤務時間×100

なお、コールセンターによっては、オペレーターがログインした時間の総数を勤務時間とみなすケースや、トイレなどの所用で離席した時間を差し引いて計算するケースがあります。

占有率との違い

稼働率と類似した指標として占有率が挙げられます。占有率とは顧客対応時間と待機時間を合わせた時間のうち、顧客対応時間が占める比率です。主に顧客対応の忙しさを把握でき、業務改善に活用されます。占有率が低いと顧客を待たせる時間が長くなり、顧客満足度が下がる可能性があります。

 

占有率の計算式は以下の通りです。

占有率=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)×100

一般的に、占有率は76~87%が適しているといわれています。

応答率との違い

稼働率と同じく、コールセンターの状況を把握する上で重要な指標の一つが応答率です。稼働率が稼働した割合を指す一方で、応答率とは顧客からの入電に対して応答した割合を指します。つまり、顧客からオペレーターへの電話のつながりやすさを表す数値です。

 

適正値は90%以上とされており、数値が下回った場合はオペレーター不足や作業効率の悪さなどが考えられます。

 

応答率の計算方法は以下の通りです。

応答率=対応件数÷顧客からの着信件数×100

なお、コールセンターの応答率については以下の記事でも解説しています。

コールセンターの稼働率の理想はどのくらい?

コールセンター運営を円滑にすすめるには、適切な稼働率を保つ必要があります。ここでは理想的な稼働率に併せて、高過ぎたり低過ぎたりした場合のリスクも解説します。

理想的な稼働率は80~85%

優れた顧客体験(CX)を目指す会社に向けて策定された国際的な基準「COPC CX規格」によると、理想的な稼働率は毎月平均で86%とされています。日本では業務内容や難易度、オペレーターのスキルなどを踏まえて、80~85%を目指すケースが一般的です。

 

コールセンターを効率よく運営するには、稼働率を理想値に保つ必要があります。高い方がよいと考えがちですが高過ぎても低過ぎても問題があるため、注意深く測定することが大切です。

稼働率が高過ぎると発生する問題

稼働率が理想値を上回った場合、オペレーターに大きな負担がかかっている可能性があります。また、勤務時間の多くを顧客対応に取られている状況であり、研修や教育を行う時間の確保ができない点もデメリットです。

 

こうした状況が続くとオペレーターの疲弊やストレス過多につながり、離職率が上がる要因となります。また、適切な顧客対応ができないことから顧客満足度の低下も懸念されるでしょう。なお、業務内容が比較的簡単な場合やスキルの高いオペレーターが揃っている場合も、稼働率が上がりやすくなります。

 

コールセンターを辞めるオペレーターが多い理由については、以下の記事をご覧ください。

稼働率が低過ぎると発生する問題

稼働率が理想値を下回る場合、オペレーターの人材余剰が考えられるほか、オペレーターの業務姿勢にも問題がある可能性が考えられます。

 

どのような課題があるかを判断する際は、応答率も併せて確認することが重要です。稼働率と応答率の双方が低い場合は、オペレーターの対応効率が悪い可能性が高いでしょう。一方で稼働率が低く応答率が高い場合は、オペレーターの人材が余っていることが懸念されます。

 

いずれにしても、稼働率の低下は生産性の低下に直結します。理想値を目指して生産性を向上させるためには、人材配置の見直しや業務内容の改善が必要です。

 

稼働率を含むコールセンターの指標は、繁忙期と閑散期を比較すると大きく変動することがあります。しかし、あまりにも理想値を離れてしまう場合は時期が原因ではなく、何らかの課題が潜んでいる可能性があるため早急に対策を講じることが大切です。

コールセンターの稼働率に関連するKPI一覧

稼働率はコールセンターの運営に役立つKPIの一つです。KPIとは「重要業績評価指標」といい、最終目標までのプロセスの達成具合を計測する指標を意味します。稼働率以外にもさまざまなKPIがあり、いずれもコールセンターにおける生産性や業務効率を上げる上で重要な指標です。

 

ここでは、コールセンターの稼働率に関連するKPIを4つご紹介します。

CPC

コールセンターにおけるCPCとは「Cost Per Call」の頭文字を取った言葉で、1コールにいくら費用がかかるかを示す指標です。一般的には、人件費だけでなく通信費や家賃などすべての経費が対象となり、全体のコストを通話数で割るとCPCの値が算出されます。

 

なお、CPCはコールセンター業務にかかるコストを確認する際に役立ちますが、目安は業務内容や対応件数などで異なるため一概にはいえません。また、対象とする経費も業務内容に沿って決める必要があります。例えば人件費だけを確認したい場合、ほかの経費は含めません。

 

コールセンターのコスト削減については以下の記事でも解説しています。

ATT(平均通話時間)

1コールに対してオペレーターが通話に費やした平均通話時間を示す指標がATT(Average Talk Time)です。ATTは通話開始から終了までの時間が対象となり、通話時間だけでなく保留時間も含まれます。

 

ATTを算出する計算式は以下の通りです。

ATT=(通話時間+保留時間)÷通話件数

ATTの数値は低い方がよいと思われがちですが、単純に数値を下げるだけでは適切とはいえません。理由としては、ATTを意識し過ぎて早く対応を終わらせようとすると、オペレーターの対応品質が下がり、顧客満足度の低下につながりかねないためです。

 

また、通話内容によっては時間を要するケースもあるでしょう。ATTを短縮する場合は、顧客満足度を踏まえて慎重に措置を講じることが大切です。

ACW(平均後処理時間)

コールセンター業務には、顧客との通話後の後処理も含まれます。例えば、顧客のお問い合わせ内容の記録や受注対応、他部署への伝言なども後処理業務です。こうした後処理にかかる平均時間を表す数値をACW(After Call Work)といいます。

 

ACWは以下の計算式で算出できます。

ACW=後処理時間の合計÷対応件数

ACWはオペレーターのスキルによって差が開きやすく、短縮を検討する場合はスキルの差を埋めることが重要です。オペレーターのタイピングスキルを上げるほか、入力ツールや補助ツールを活用するのもよいでしょう。その他、後処理のフローが複雑化していないかを見直すことも大切です。

AHT(平均処理時間)

AHT(Average Handling Time)は、1コールの対応に費やした時間の平均値を指します。ATTが通話時間、ACWが後処理に絞った平均時間であるのに対して、AHTは通話と後処理を合わせた時間です。

 

AHTは以下の計算式で算出されます。

AHT=(通話時間+後処理時間+保留時間)÷通話件数

AHTが短ければオペレーターの対応可能件数が増えるため、コールセンターの利益率改善が期待できます。AHTの短縮を検討する際はATTとACWをそれぞれ分析した上で、どちらに課題があるかを洗い出すことが重要です。

 

以下の記事では、コールセンターの代表的なKPI一覧を課題内容に沿ってご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターの稼働率を適切に保つ方法とは?

コールセンターの稼働率が理想値になっても、安定して維持できなければ業務に支障が出ます。円滑にコールセンターを運営するには理想値を保つことが大切です。ここでは、コールセンターの稼働率を適切に保つ方法を解説します。

オペレーター数の最適化を図る

稼働率を理想値に保つには、オペレーターの人数に留意する必要があります。オペレーターの人数が多ければ稼働率も上がりますが、多過ぎると待機時間が増えてしまい、占有率や業務効率の低下が懸念されるでしょう。そのため、稼働率以外のKPIや業務効率を踏まえた上で、オペレーター数の適正化を図ることが大切です。

 

例えば入電数が多い時間帯や曜日、繁忙期にはオペレーターを増員するとよいでしょう。一方で閑散期はオペレーター数が過剰にならないように調整が必要です。

 

適正なオペレーターを割り出すには業務量の測定が必要です。1時間・1日・1ヶ月と細かく測定をした上でシフト管理を行えば、適切な人数のオペレーターを確保しやすくなります。

ステータス管理を徹底する

オペレーターのステータス管理も、稼働率を理想値に保つ上で欠かせないポイントです。「通話中」「後処理」「保留」「離席」「休憩」といったオペレーターの状態を細かく把握しておくと、正確な稼働率が算出できます。CPC・ATT・AHA・ACWといったKPIを活用し、改善が必要な点を洗い出しましょう。

 

ただし、ステータス管理はオペレーターが各自で実施する必要があり、細かく設定し過ぎると負荷がかかります。その結果、正しい状況が把握できなくなる恐れもあるため、状況を踏まえた上で設定しましょう。

待機時間を有効活用する

閑散期になると待機時間が増えるため稼働率が下がります。こうした非生産時間を人材教育やスキルアップなどにあてて有効活用しましょう。閑散期に得たスキルや知識を繁忙期に活かせば、結果的に生産性アップや業務効率化につながります。

 

なお、コールセンター研修は、ビジネスマナーを身につけるものや商品・サービスに関する知識づけなどさまざまです。座学やロールプレイングを行う方法もありますが、デスクで使える学習ツールを活用した研修もおすすめです。研修のほか、面談を実施してオペレーターのメンタルケアにあてるのもよいでしょう。

 

コールセンターの業務改善方法やアイデアは、以下の記事でも解説しています。

コールセンターの業務改善には「ソクコム」がおすすめ!

ソクコムの特徴を紹介したイメージ画像

ソクコムは「電話」「メール」「SMS」といった、企業と顧客をつなぐコミュニケーションツールを一元化したオムニ型コミュニケーションプラットフォームです。

 

コールセンターの業務改善に活用できる機能が多数備わっており、自社の業務に合わせてカスタマイズできます。また、クラウドPBX機能により、パソコンとインターネット環境があれば場所を選ばずに発着信や転送が可能です。

 

誰でも使いやすいシンプルな設計になっており、システムの操作が苦手な人でも安心してご利用いただけます。顧客情報の一元管理や検索、設定の変更などがしやすく、コールセンターの稼働率アップにも役立つでしょう。

コールセンターの運営方法を見直して稼働率を改善しよう

稼働率は生産性アップや業務効率化に加えて、顧客満足度にもつながる重要なKPIです。稼働率を適宜確認しながら、オペレーターに負荷がかかっていないか、人員余剰はないかなど課題を洗い出すとよいでしょう。また応答率や占有率、CPC、ATTなどのKPIも踏まえて細かく分析することも重要です。

 

オムニチャネル型コミュニケーションプラットツール「ソクコム」は、「電話」「メール」「SMS」などさまざまなコミュニケーションツールの一元化に対応しています。電話対応に必要な機能も多数備わっており、稼働率の向上に役立てることが可能です。

 

コンタクトセンターの稼働率を適切に保ちたい人は、ぜひソクコムをご利用ください。

ソクコムの導入事例もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

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