2023.12.27

コールセンターのKPIを項目別に解説!計算式や業務改善につながるツールとは

コールセンターの運営において、KPIは全センターの状態やオペレーターの水準、課題を知るための重要な指標となります。例えば、電話がつながりにくい状況が続くと顧客満足度の低下が懸念されるほか、オペレーターに過度な負荷がかかっていれば離職率が上がる恐れがあるでしょう。こうした状況を避ける上でも、KPIは大きな役割を果たします。

今回は、コールセンター業務におけるKPIの重要度を解説するともに、関連するKPIを項目別にご紹介します。

コールセンターにおけるKPIとは?

KPIとは「重要業績評価指標」を意味し、ビジネスにおいて設定した目標がどの程度達成しているかを確認するための指標です。コールセンターでも目標を達成する上で重要な役割を持ちます。

 

コールセンターには、「SL(サービスレベル)」や「応答率」といった代表的なKPIだけでも多数あります。業務効率の改善や生産性の向上を目指すためには、それぞれのKPIを適切に管理することが重要です。

コールセンターでKPIを設定する必要性

KPIはコールセンターの課題を速やかに解決し、目標に達する上で重要な指標です。コールセンターで掲げられる目標として、顧客満足度や対応品質の向上が挙げられます。しかし、これらの目標はプロセスを数値化しづらく、達成度合いが分かりにくいです。

 

KPIの活用によって曖昧な目標が可視化されると、課題の洗い出しや業務改善のヒントを得やすくなります。また、オペレーターを評価する際の基準にもなるため、管理業務においても役立つ指標といえるでしょう。

【項目別】コールセンターの代表的なKPI一覧

コールセンターに関連するKPIは多岐に渡るため、内容や計算方法を把握しておくことが大切です。ここでは、コールセンターの代表的なKPI一覧を4つの項目に分けてご紹介します。

応対品質の改善に活用できるKPI

コールセンターにおいて、オペレーターの品質水準は顧客満足度や業務効率、利益に直結する要因です。ここでは、応対品質の改善に活用できるKPIを3つご紹介します。

応答率

コールセンター業務における応答率とは、顧客からの入電にオペレーターが対応した比率を示す数値です。応答率は以下の計算式で算出できます。

応答率=対応件数÷顧客からの着信件数×100

数値が高いほど電話がつながりやすい状態であり、取りこぼすリスクが低いといえます。ただしあまりに高すぎると、オペレーターに過度な負担がかかっている可能性があるため注意が必要です。一般的には90%以上が適正な値とされています。

 

一方で80%を下回ると、人員不足や作業効率の悪さが要因として考えられるでしょう。また、50%以下の場合は、組織体制や業務の流れ自体に問題があると判断でき、早急な対策が求められます。

 

コールセンターの応答率を上げる方法については、以下の記事で解説しています。

放棄呼率

放棄呼率とは、電話を取る前に顧客が切断した場合や、システムの問題で切断された入電の比率です。放棄呼率は下記の計算式で算出できます。

放棄呼率=放棄呼数÷顧客からの着信件数×100

例えば、100件の入電に対して5件の放棄呼数があれば、放棄呼率は5%となります。放棄呼率の目標値は0%に定めるケースが一般的です。数値が高いとコールセンターにつながりにくい状況となり、顧客から対応品質が悪いとみなされやすいでしょう。また、売上につながる機会を失う要因にもなるため注意が必要です。

 

放棄呼率が高い場合は、人員不足や1コールあたりの対応時間が長すぎるといった問題が考えられます。これらを解決することで接続品質の向上が期待できるでしょう。

ASA(平均応答速度)

ASAとは平均応答速度を指し、入電から応答までにかかった平均時間を指します。ASAの計算方法は以下の通りです。

平均応答速度=応答までにかかった時間の総数÷顧客からの着信件数

例えば、応答までに費やした時間の総数が1,500秒で顧客からの入電が50件の場合、ASAは30秒です。一般的にASAの目安は20秒とされており、数値が下がるほど顧客を待たせる時間が短いことが分かります。

 

一方でASAが高い場合は顧客の待機時間が長く、顧客満足度の低下が懸念されるでしょう。ASAの数値が上がる原因として、人員不足や業務効率の悪化が考えられます。

 

顧客にとって電話がすぐにつながることは、企業を評価する項目の一つです。企業全体のイメージを下げないためにも、ASAが低下しないように留意しましょう。

SL(サービスレベル)

SLは、事前に定めた時間内に顧客からの入電に対応できたかを示す指標です。SLは以下の計算式で算出されます。

SL=(設定した時間内の対応件数÷顧客からの着信件数)×100

例えば100件の着信のうち、設定した時間内に対応した件数が80件であれば、SLは80%となります。なお、一般的な目安は80%です。

 

SLが目標よりも低い場合、設定時間内に対応できなかった入電が多いことが分かります。応答率と同様につながりやすさを示す指標であり、応答率が低い場合はSLも下がるケースが一般的です。SLの向上を図るためには応答率を改善する必要があります。

 

また、応答率だけでは顧客を待たせた時間を把握できません。応答率とSLの両方を踏まえて、課題を正確に洗い出すことが大切です。

顧客満足度向上に活用できるKPI

コールセンターの顧客満足度が上がれば、企業のイメージアップにつながります。ここでは、顧客満足度の向上に活用できるKPIを2つご紹介します。

CS(顧客満足度)

CSとは顧客満足度を意味します。コールセンターの応答品質は顧客満足度に直結し、不満を抱く顧客が増えれば企業自体の運営にも影響しかねません。顧客満足度の向上を図るためにも、CSを測定することは重要です。

 

コールセンターでは顧客が通話に満足できたか、スムーズに問題解決できたかどうかを踏まえてCSを測ります。一般的には顧客に対してアンケート実施し、結果を集計するケースが多いです。また、最近では電話番号からSMSを送ったり、公式ページにWebアンケートページを設けたりする企業も多く見られます。

 

アンケート内容は、顧客の負担にならない構成にすることが大切です。例えば、オペレーターの対応品質を5段階で評価できる流れにすると、顧客も簡単に答えられます。匿名で回答できれば、より安心してアンケートに協力しやすいでしょう。

NPS(顧客推奨度)

NPSとは顧客推奨度を意味し、顧客が知人に対してサービスや商品をすすめたいかどうかを示す数値です。NPSもCSと同様にアンケートを実施して計測します。

 

まずは、項目ごとに0~11の11段階で評価できるアンケートを用意しましょう。0~6と評価した顧客を「批判者」、7~8と評価した顧客は「中立者」、9~10と評価した顧客を「推奨者」に分類します。

 

その結果をもとに、NPSを以下の計算式で算出できます。

NPS=推奨者の割合―批判者の割合

例えば、推奨者が全体の80%で批判者が30%だった場合、NPSは50%です。なお、NPSは目標値を決めるのではなく、定期的に計測することが大切です。低い数値が続く場合は、推奨者の増加もしくは批判者の減少につながる対策を講じる必要があります。

業務効率化に活用できるKPI

コールセンターの業務効率化は、顧客満足度はもちろんオペレーターのモチベーションや離職率低下にもつながる重要な課題です。ここでは、コールセンターの業務効率化に活用できるKPIを4つご紹介します。

稼働率

稼働率とは、オペレーターが勤務時間中にオペレーター業務に費やす時間の比率です。電話対応にかかる時間だけでなく、後処理や待機時間も稼働率に含まれます。なお、面談やMTG、研修、休憩時間は該当しません。

 

稼働率の計算方法は以下の通りです。

稼働率=(通話時間+保留時間+後処理時間+待機時間)÷勤務時間×100

稼働率の理想値は80~85%とされています。高いほどよいと思われがちですが、100%に近づくとオペレーターに過度な負担がかかっている可能性があるため注意が必要です。また、勤務時間の大半を顧客対応が占めている状態で、研修や教育にあてる時間がないことも懸念点といえます。

 

コールセンターの稼働率については、以下の記事で詳しく解説しています。

ATT(平均通話時間)

ATTとは1コールに対して通話に費やした時間を示す指標です。通話開始から終了に至るまでの時間数が計測対象となるため、保留時間も含みます。

 

ATTの計算式は以下の通りです。

ATT=(通話時間+保留時間)÷通話件数

ATTは低い方がよい印象がありますが、数値を下げればよいというわけではありません。ATTを下げることに集中しすぎると、オペレーターの対応品質の低下につながる可能性があります。

 

また、通話内容によっては、時間をかけて対応すべきケースもあるでしょう。ATTを下げるための対策を練る際は、対応品質や顧客満足度を踏まえた上で検討する必要があります。

ACW(平均後処理時間)

ACWとは平均後処理時間を示す指数です。コールセンターでは顧客との通話だけでなく、通話後に行う対応記録や受注対応、他部署への伝言なども業務に含まれます。ACWでは、こうした後処理にかかった時間の平均値の測定が可能です。

 

ACWは以下の計算式で算出できます。

ACW=後処理時間の合計÷対応件数

ACWは、オペレーターのスキルや経験値に左右されやすい点が特徴です。そのため、短縮するためにはオペレーターのスキルアップを図り、対応力を標準化する必要があります。

AHT(平均処理時間)

AHTとは1コールに費やした時間の平均値を指します。AHTの計測対象となるのは、通話や後処理、保留を合わせた時間です。

 

AHTは以下の計算式で算出できます。

AHT=(通話時間+後処理時間+保留時間)÷通話件数

AHTの数値が低ければオペレーターの対応件数が増えます。その結果、人件費の削減を図るなどコストを見直す上でも重要な指数です。ただし、AHTを意識しすぎると対応品質が低下し、顧客満足度に影響する恐れがあります。AHTを下げるにはATTとACWを分析し、課題を洗い出すことが重要です。

マネジメントに活用できるKPI

オペレーターを適切に管理することも、コールセンターを円滑に運営する上で大切です。ここでは、コールセンターのマネジメントに活用できるKPIを2つご紹介します。

欠勤率

あらかじめ設置されたオペレーターの勤務日数に対して、欠勤日数の比率を示す指標が欠勤率です。欠勤率は以下の計算式で算出できます。

欠勤率=(欠勤日数÷予定していた勤務日数)×100

十分な人数のオペレーターが揃っていた場合でも、欠勤率が高いとコールセンター業務の効率が下がります。例えば、職場環境が悪いとオペレーターのモチベーション低下やストレス負担を招き、欠勤率の上昇が予想されるでしょう。

 

欠勤率は0%を目指し、欠勤を繰り返すオペレーターに対しては理由を丁寧にヒアリングすることが大切です。また、オペレーターの問題ではなく、企業全体の課題として改善に取り組む必要があります。

離職率

一定期間内に離職したオペレーターの比率が離職率です。離職率は下記の計算式で算出できます。

離職率=対象期間の離職者数÷対象従業員数

離職率の計算方法は企業によって異なりますが、対象期間を1年間や3年間、対象となる従業員を全従業員などと指定して算出します。

 

離職率が上がる理由として、業界を問わず課題となっている人材不足や人材の流動化といった外的要因が挙げられます。また、業務内容や職場環境が関連する内的要因によって、離職率が上がるケースも少なくありません。

 

なお、コールセンターは離職率が高い傾向にあります。離職率を下げるには外的要因に対するリスクヘッジも重要ですが、内的要因から対策した方が現実的でしょう。例えば、普段から各オペレーターと面談を行ったり適切な評価制度を確立したりと、職場環境の改善を継続して行うことが大切です。

 

コールセンターの離職率が高い理由は、以下の記事で詳しく解説しています。

また、カスタマーハラスメントも、コールセンターが抱える課題の一つです。以下の記事では、カスタマーハラスメントの対策方法を解説しています。

KPIを管理して目標を達成するには業務改善ツールの導入がおすすめ

KPIを設定しても管理ができなければ目標達成に至りません。KPIを管理して目標達成を目指すには、コールセンター向けの業務改善ツールが役立ちます。

 

例えば人材不足に悩んでいる場合、チャットボットや自動音声案内を活用するとよいでしょう。繁忙期や入電が集中する時間帯の応答率向上を目指すなら、自動振り分け機能がおすすめです。

 

また、自治体によってはコールセンターの運営に関わる費用を補助する「コールセンター誘致補助制度」を設けているケースがあります。ツールの導入にかかるコストを抑えたい場合は、こうした補助金が役立つでしょう。

 

以下の記事では、コールセンターの業務改善に役立つ事例を解説しているので、ぜひご覧ください。

顧客とのコミュニケーションに役立つツールや機能については、以下の記事でご紹介しています。

「ソクコム」ならコールセンターの業務改善が可能!

ソクコムの特徴を紹介したイメージ画像

ソクコムは「電話」「メール」「SMS」といった、企業と顧客をつなぐコミュニケーションツールを一元化したオムニ型コミュニケーションプラットフォームです。

 

KPIの管理や目標達成に役立つツールも多数搭載されており、その中から自社に適した機能を選択できます。例えば、API連携やモニタリング機能を活用すると、管理者がオペレーターの状況を把握しやすいでしょう。その他、クラウドPBX機能によって顧客情報の管理や情報共有の円滑化につながり、業務効率を上げられます。

 

ソクコムはシンプルなUI設計のため、システムの操作が不安な人でも安心してご利用いただけます。

チャネルの拡大やツールの一元化でコールセンターの業務改善につなげよう

コールセンターにおけるKPIは業務効率化や生産性アップはもちろん、オペレーターが快適に働く環境を整える上でも重要な指標です。日頃から細かくKPI管理をすることでいち早く課題に気づけ、深刻な事態を引き起こすリスクを避けられます。

 

また、従来のコールセンターでは電話を使うケースが一般的でしたが、近年はSMSやメールなどさまざまなチャネルの活用が増えてきました。チャネルを拡大すると顧客との接点が増え、機会損失を防止できます。オペレーターの負担軽減につながるほか、顧客も気軽にお問い合わせができるでしょう。

 

オムニチャネル型コミュニケーションプラットツール「ソクコム」は、「電話」「メール」「SMS」などさまざまなコミュニケーションツールの一元化に対応しています。クラウドPBX機能により顧客情報も一元管理できるため、顧客対応や社内への情報共有も円滑化することが可能です。

 

KPIを見直してコンタクトセンターの業務改善を図りたい人は、ぜひソクコムをご利用ください。

ソクコムの導入事例もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

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