2023.12.26

コンタクトセンターとコールセンターの違いとは?運用メリットや必要なシステムを解説

コールセンターは主に顧客からの電話対応を担う業務です。しかし、顧客行動が多様化している中、従来のコールセンター業務だけでは対応しきれないケースも少なくありません。こうした状況を踏まえて、電話対応のほかメールやチャットなど幅広い顧客対応を担うコンタクトセンターが注目を集めています。

今回は、コールセンターとコンタクトセンターの違いと併せて、コンタクトセンターのメリットや運用に必要なシステムを解説します。

コンタクトセンターとは

コンタクトセンターとは電話だけでなくメールやSMS、チャットなど多様な手段を活用して顧客対応を行う部門です。従来、顧客対応はコールセンターが担うケースが一般的でした。しかし、近年ではお問い合わせの手段が多様化しており、こうした状況を解決すべく誕生した部門がコンタクトセンターです。

 

コンタクトセンターは企業によって「カスタマーセンター」や「お客様相談窓口」など、独自の名称で呼ばれることがあります。

コンタクトセンターとコールセンターの違い

コンタクトセンターとコールセンターは、いずれも遠隔で顧客対応を行う業務です。大きな違いとして顧客とのコミュニケーション手段や業務内容が挙げられます。それぞれの違いは以下の通りです。

コンタクトセンターコールセンター
コミュニケーション手段     電話、Eメール、SMS、Web、チャット、FAX、ハガキなど電話
業務内容多様なチャネルを活用した顧客対応、ツールを導入した24時間自動対応オペレーターによるマンツーマンの電話対応

コールセンターは電話のみを使った顧客対応であり、商品やサービスに対するお問い合わせのほか、クレーム対応や意見の収集を行います。

 

一方で、コンタクトセンターにおける顧客とのコミュニケーション手段は電話だけに限りません。Webからのお問い合わせやメール、SMS、チャットといったインターネットを活用した手段に加え、FAXやハガキなどを使うケースもあります。

 

また、コンタクトセンターが担う業務は、お問い合わせやクレーム対応に限りません。例えば、品質向上を目的としたマーケティング活動や、購入履歴を踏まえた商品の提案などを行う場合もあります。

 

コンタクトセンターではさまざまな手段を通して、顧客からの意見や反応を多く収集することが可能です。顧客対応だけではなく業務改善やサービス向上など、経営的な視点で重要な取り組みを担っています。

コンタクトセンターが注目されている背景

近年、多くの企業からコンタクトセンターが注目されている理由として、以下の2点が挙げられます。

コミュニケーション手段(ツール)が多様化している

従来のコミュニケーション手段は、電話を活用するケースが一般的でした。しかし、インターネットが広く浸透した現在では、電話だけでなくメールやチャット、SMSなどさまざまなコミュニケーションツールが使われるようになりました。

 

顧客によっては、電話よりも気軽に使えるSMSやチャットの方が連絡しやすいと感じる人も多いでしょう。コンタクトセンターではこのように多様化するコミュニケーション手段に対応でき、顧客が気兼ねなくお問い合わせできる環境の構築が可能です。

 

また、チャットシステムを導入すると部署間の連携にも役立ちます。コールセンターでは対応しきれなかったお問い合わせも、チャットを通した専門部署と連携することで的確な対応が可能です。

 

顧客とのコミュニケーションに役立つツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。

顧客満足度の向上につながる

お問い合わせ内容が軽微だった場合、電話では質問しづらいというケースも考えられます。従来のコールセンターでは電話対応に限られており、お問い合わせを躊躇してしまう人も少なくありません。

 

一方でSMSやチャットツールなどに対応したコンタクトセンターであれば気軽に質問でき、電話よりもスムーズに問題を解決しやすくなります。このように、顧客対応が円滑になることで顧客満足度の向上が見込める点も、コンタクトセンターが注目される理由の一つです。

顧客体験価値(CX)の重要性が高まっている

近年、顧客は製品やサービスの購入に至るまでの体験や、企業との対話などにも価値を置く傾向にあります。これを「顧客体験価値(CX)」といい、売上を伸ばす上で軽視できないポイントです。

 

コンタクトセンターの設置により、多様な手段でやり取りができるようになると顧客対応の精度が上がります。顧客体験においてよい印象が与えられれば、商品やサービスはもちろん企業に対して愛着を感じる顧客が増えるでしょう。

 

さまざまな製品やサービスが溢れ、他社製品との差別化が難しい中で、コンタクトセンターは顧客に対してさらなる企業価値をもたらす重要な役割を担っているといえます。

コンタクトセンターを運用する3つのメリット

コンタクトセンターを運用するとさまざまなメリットが得られます。主なメリットは以下に挙げる3つです。それぞれのメリットについて解説します。

メリット1.正確な顧客情報を収集できる

従来のコールセンターでは、電話対応をした後で顧客情報を社内に共有する必要がありました。しかし、人為的に記録するためミスが発生しやすい点がデメリットでした。

 

一方、チャットやメールでコミュニケーションを取ると、顧客からの要望やクレーム内容なども詳細にデータとして残ります。その結果、従来の手段よりも正確な顧客情報が収集でき、社内におけるスムーズな情報共有が可能です。

メリット2.対応件数の向上につながる

コールセンターにおいてすべてのお問い合わせに対応するには、24時間オペレーターを配置しなければなりません。オペレーターが確保できたとしても、電話が殺到してしまえば回線が混み合い、対応できないケースも考えられるでしょう。

 

一方でコンタクトセンターではSMSやメール、チャットを活用するため、24時間365日顧客対応をすることが可能です。オペレーターが席を外している場合でも、記録されたお問い合わせ内容をもとに追って返答できる点も踏まえると、格段に対応件数が上がります。

メリット3.オペレーターの負担軽減につながる

コールセンターでは、電話のみで多くのお問い合わせに対応する必要があります。対応する件数が多いほど、オペレーターの業務負担は増えるでしょう。また、電話におけるクレーム対応はオペレーターの精神的負担にもつながります。

 

コンタクトセンターを設置すると、クレームを含むお問い合わせをテキストで受けることが可能です。チャットボットを導入してよくある質問への回答を自動化すると、オペレーターの負担軽減が期待できます。

 

その他、正確に収集された情報をデジタル化し共有や確認がスムーズになれば、クレームや質問に対して速やかに対応できるでしょう。

 

なお、コールセンターの課題に挙げられるのが、カスタマーハラスメントです。以下の記事では、カスタマーハラスメントによる企業リスクを解説しています。

コンタクトセンターの運用に必要なシステム

コンタウトセンターを運用するには、さまざまなシステムが必要です。主なシステムとして以下の7つを解説します。

CRM

CRMは、顧客管理システムとも呼ばれ、顧客情報を一元管理する際に役立ちます。CRMを活用すると氏名や電話番号などの個人情報だけでなく、購入履歴や過去のやり取りなども記録することが可能です。ほかのオペレーターや他部署で入力されたデータも残せるため、タイムラグが起こることなく顧客対応ができます。

 

製品によっては、回答テンプレートやトークスクリプトなどオペレーティング補佐システムが搭載されているタイプもあり、対応品質の向上はもちろん業務効率化にもつながるツールです。

CTI

電話とコンピューターを連携させるシステムをCTIといいます。CTIを活用すると、電話番号と顧客情報の紐付けが可能です。電話を受けた際に顧客情報が自動的に表示されるため、その都度データを検索したり通話履歴を調べたりする必要がなく、オペレーターの負担が軽減されます。

 

加えて、各オペレーターが通話した時間や受付件数の管理も可能になり、業務の偏りを回避できる点も特徴です。CTIの導入によって迅速かつ正確な電話対応が実現すれば、顧客満足度の向上にもつながります。

IVR

IVRとは自動音声応答を指し、顧客からのお問い合わせがオペレーターにつながる前にコンピューターが自動応答します。また、顧客が用件に合わせて番号を入力する仕組みになっており、事前にお問い合わせ内容を把握できる点もIVRの特徴です。

 

IVRを導入すると用件に見合った部署への転送や、簡単な内容であれば自動音声のみでの対応ができるようになります。その結果、オペレーターは受電の度に用件を確認する手間が省け、顧客も問題解決までの時間が短縮されるため顧客満足度の向上が期待できます。

PBX

PBXとは、内線や外線の転送をする際に役立つ電話交換機です。CTIやIVR と併用されるケースが多く、各部署や営業所への転送が発生するコンタクトセンターに必要なツールといえます。

 

要件に沿って適切な部署へ電話をつなげられるため、スムーズな顧客対応が可能です。また複数の拠点を一元管理でき、拠点間の通話は無料で行えるためコスト削減も期待できます。

 

近年、増加傾向にあるテレワークを活用したコンタクトセンターを運用する上でもPBXの導入が必要です。PBXの活用により複数の拠点を設けられれば、顧客からの電話を取り逃がすリスク回避にもつながります。

 

クラウドPBXの導入を検討している人は、下記の記事を参考にしてみてください。

ACD

ACDとはコール数や待機時間、オペレーターのスキルレベルなど事前に設定したルールに則って、顧客からの着信を適切な部署に割り振るシステムです。

 

ACDにはさまざまな機能が搭載されており、オペレーターの負担軽減だけでなく顧客満足度の向上にもつながります。例えば、電話がつながるまでの間にアナウンスを流す「待ち時間ガイダンス」もその一つです。回線が混み合っている場合でもアナウンスがあることで安心感を与えられ、かけ直すかどうかの判断材料としても役立ちます。

 

その他、顧客からのお問い合わせが一定数を超えた際に、対応可能な他部署へ転送する「オーバーフロー転送」も便利な機能です。このようにACDには、電話対応において顧客を不必要に待たせない工夫が盛り込まれています。

チャットボット

チャットボットとは、あらかじめプログラムされた回答をチャット形式で顧客に提供できるサービスです。自動応答が可能で24時間365日対応できるため、オペレーターの負担軽減や顧客満足度の向上につながります。また、電話を使ったコミュニケーションに苦手意識を持つ顧客でも、気軽にお問い合わせできる点もメリットの一つです。

 

近年はチャットボットの性能が上がっており、より正確かつ柔軟な対応が可能になったことで、さらに顧客ニーズに沿った対応へと進化しています。

SMS配信ツール

SMSとは電話番号を宛先に、テキストでやり取りができるサービスです。SMS配信ツールでは、任意の顧客に対してショートメッセージを一斉に配信できます。

 

携帯電話やスマートフォンが広く普及している中、SMSは幅広いユーザーに情報を送る上で役立つ仕組みです。Eメールとは違い送信できる文字数が限られるものの、その分コストが抑えられるため、多くの企業がダイレクトメールや本人確認、通知などさまざまな用途で活用しています。

 

また、SMSはEメールよりも開封率が高い点が特徴です。顧客も自分のタイミングで確認しやすく、利便性が高い手段といえるでしょう。

コンタクトセンターやコールセンターが抱える課題

コールセンターは離職率が高い職場の一つです。その理由として、各オペレーターへの業務負担や精神的な負担が挙げられます。コンタクトセンターの運用は、オペレーターの負担軽減が期待できるため、離職率低下を目的に検討する企業も多いでしょう。

 

しかし、コンタクトセンターを運用しても、オペレーターの離職率は依然として高い傾向にあります。顧客対応をスムーズに行うにはある程度の知識やスキル、コミュニケーション能力が必要です。いくらコンタクトセンターを設置して人材を確保できたとしても、知識やスキルが不足した状態では適切な対応ができません。コンタクトセンターを運用する際は必要な人員を確保するだけでなく、顧客対応の品質アップや標準化に向けた人材教育が大切です。

 

コールセンターを辞めるオペレーターが多い理由や離職率を下げる対策方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。

コールセンターの業務改善やコスト削減を図りたい人は、以下の記事をご覧ください。

近年、コールセンター業務を在宅勤務で行う企業が増えています。導入方法やメリット・デメリットについては以下の記事をご覧ください。

オムニチャネル型の「ソクコム」ならコミュニケーション業務の効率化が可能!

ソクコムの特徴を紹介したイメージ画像

ソクコムは「電話」「メール」「SMS」といった、企業と顧客をつなぐコミュニケーションツールを一元化したオムニ型コミュニケーションプラットフォームです。

 

コンタクトセンターをスムーズに運用するために必要な機能も多数搭載されており、自社の業務に適した機能を選択することができます。また、クレームを一元管理する機能も備わっているため、情報共有の円滑化や顧客満足度の向上にも役立つでしょう。

 

既存の顧客管理ソフトとの連携が可能であり、別途高額なツールを導入する必要はありません。コンタクトセンターを運用する際のコストが気になる企業にもおすすめのシステムといえます。

コンタクトセンターの運用やコールセンターの課題解決に役立つシステムの導入を

コンタクトセンターやコールセンターは、顧客満足度に直結する重要な業務です。お問い合わせだけでなくクレームにも対応しなければならず、オペレーターの業務負担が懸念されます。また、体制が整っていなければ、顧客からのお問い合わせを取りこぼす可能性もあるでしょう。

 

コンタクトセンターを効率的に運用し、コールセンターが抱える課題を解決するには、電話以外のチャネルを有効に活用できるシステムを導入することが大切です。

 

オムニチャネル型コミュニケーションプラットツールの「ソクコム」は、「電話」「メール」「SMS」などさまざまなコミュニケーションツールの一元化に対応しています。クラウドPBX機能により、リモートワークを導入する際にも活用可能です。また、CRMとの連携によって正確な顧客管理ができるため、迅速かつ適切な顧客対応に役立ちます。

 

コンタクトセンターの運用を検討している人は、ぜひソクコムをご利用ください。

ソクコムの導入事例もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

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