病院・クリニックの電話対応をAI化する方法|窓口業務の負担軽減術

●カテゴリ: コールセンター・CS

●関連タグ: IVR / ボイスボット / リマインド / 留守電吹込

この記事で分かること

  • 病院・クリニックの電話対応でAIが担える業務の範囲
  • 予約変更や再診案内などの定型業務を自動化する方法
  • IVR・ボイスボット・AIエージェントの違いと使い分け
  • 個人情報の配慮と緊急時のエスカレーション設計のポイント
  • 夜間対応や高齢の患者さんへの配慮の工夫

AIエージェントとは、音声認識と自然言語処理を使い、電話口でのやり取りを人に代わって自動で処理する仕組みのことです。

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病院・クリニックの外来予約窓口が抱える課題 

病院・クリニックの外来予約窓口の電話対応は、診療の合間に発生し続け、受付や看護師の業務を頻繁に中断させます。予約の確認や変更、薬の有無、検査結果の問い合わせは、1日に何十件も発生します。昼休み前の時間帯や診療開始直後に集中することも多く、受付が1本の電話対応に追われている間、来院した患者さんを待たせてしまう場面も少なくありません。

診療中の医師にとっても、ナースコールと電話取次ぎが重なれば、診療の手を止める回数が増えます。電話が鳴りやまない状態が続くと、折り返し忘れや伝達ミスが起こり、クレームにつながることもあります。カルテ記載や次の患者さんの準備にしわ寄せが来て、1日の診療終わりに残業が積み上がる負担もあります。

現場では「手が足りない」より「手が止まる」ことが負担として語られる場面が多いです。この負担を減らすには、AIと人の役割分担をどう設計するかがカギとなります。

AIで対応できる業務と人が対応すべき業務

電話業務は、話す内容がほぼ決まった定型連絡と、人の判断が要る相談とに分けて設計できます。

AIに任せられる業務

予約日時の確認や変更連絡、再診案内、休診日のお知らせは、話す内容がほぼ決まっています。ボイスボット(音声で擬似対話するシステム)やAIエージェントが代わりに応答すれば、受付の手を止めずに処理できます。聞き取った日時をシステムに記録する運用も可能で、転記の手間も減らせます。

人が対応すべき業務

症状の相談や緊急性の判断、クレーム対応は、文脈を読み取る人の判断が欠かせません。AIが定型の質問に当てはまらないと判断した場合は、人へ引き継ぐ設計にしておくのが基本です。看護師や受付がAIからの引き継ぎを受け取ったあと、医師への取次ぎもスムーズにできる仕組みを備えておくことが大事です。

ソクコムは、予約前日のリマインドや再診案内のオートコール発信を得意とし、着信側の一次対応から人への引き継ぎまで一貫して設計できます。役割分担の方針が固まれば、次はAI化でどれくらい費用を抑えられるかを試算してみましょう。

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続いて、IVR・ボイスボット・AIエージェントそれぞれの仕組みの違いを比較します。

比較・選び方

IVR・ボイスボット・AIエージェントは、対応できる会話の自由度が異なります。IVR(電話の自動音声応答)は、プッシュ操作で案内を振り分ける仕組みで、休診日案内のような一方向の案内に向いています。ボイスボットは選択肢に沿った擬似対話で、予約確認のような軽いやり取りに対応できます。AIエージェントは自然な会話に近い応答ができ、言い回しが揺れる予約変更の依頼にも応じやすいです。医療現場では、用件の複雑さに応じてこの3つを使い分ける設計が現実的です。

項目 IVR ボイスボット AIエージェント
対応できる会話 プッシュ操作のみ 選択肢に沿った擬似対話 自然な会話に近い対話
向く用件休診日案内・部署振り分け 予約確認・簡単な一次受付 予約変更・問い合わせ対応
患者さん側の負担 番号を押す手間がある 選択肢の中から答える 普段どおり話せる
設計のしやすさ 分岐設計が中心でシンプル シナリオ設計が必要 発話パターンの設計が必要
向くフェーズ 導入初期・一次振り分け 段階的な自動化 本格的な外来予約窓口の自動化

仕組みの違いを踏まえたうえで、次は導入時に注意すべき設計のポイントを見ていきます。

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導入時に失敗しないポイント

個人情報の扱いと、緊急時に人や救急へつなぐ設計が、導入の成否を分けます。病歴は個人情報保護法で「要配慮個人情報」に定められており、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に沿った取り扱いが前提になります。録音データをクラウドに保管する場合は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」も参照し、保管期間や録音を聞ける人の範囲を事前に決めておきます。

緊急の症状については、AIに判断させない設計にしておきます。音声案内の冒頭で「急な症状でお困りの方は、119番、または地域の救急相談窓口(#7119など)へおかけください」と案内し、診療時間内に緊急性の高い言葉が聞き取れた場合は、すぐにスタッフへつなぎます。

弊社の独自調査『AI化の境界線に関する調査』(2026年3月/CS・コールセンター運営に関与する担当者1,012人回答)では、76.5%が「感情的な配慮が必要なクレーム対応は人が対応すべき」と回答しています。医療現場でも、AIだけで完結させず、人が判断する場面を残しておく設計にすると安心です。

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導入のメリット

  • 受付の電話対応時間を削減でき、来院した患者さんへの対応に集中できる
  • 予約変更や再診案内のような定型連絡を、診療時間外でも受け付けられる
  • 通話が記録されるため、言った言わないのトラブルを防ぎやすい

デメリットと回避策

AIが聞き取りづらい話し方や早口の問い合わせに対応しきれない場合があります。その場合は有人転送のしきい値を緩めに設定し、早めに人へ引き継ぐことで回避できます。既存の予約システムとの連携に手間がかかると感じる現場もあります。その場合は外部公開API(他システムと情報をやり取りする仕組み)を使い、段階的につなぐことで解決できます。

予約や再診の問い合わせが多い病院・クリニックには向きますが、往診中心で毎回会話内容が大きく変わる診療科には不向きな場合もあります。

医療・クリニック領域ではAI化で月数十時間規模の削減事例が報告されています。たとえば株式会社HAAB MEDICAL GROUP様では電話対応時間を月間約60時間、医療法人はつだ歯科クリニック様では一次受付のAI化で月間約21時間の削減につながりました。こうした事例を踏まえ、まずは予約変更や再診案内といった小さな範囲から自動化を始めるのが、無理なく運用を軌道に乗せるコツです。

ここまで課題・役割分担・仕組み比較・運用設計を見てきました。最後に病院・クリニックの外来予約窓口をAI化する考え方を整理します。

まとめ

病院・クリニックの外来予約窓口の電話対応は、定型連絡をAIエージェントに任せ、判断が必要な相談を人が担う設計で負担を減らせます。IVR・ボイスボット・AIエージェントを用件の複雑さで使い分ければ、受付の電話対応時間を減らしながら、緊急時の人への引き継ぎも維持できます。まずは予約変更や再診案内のような定型業務から、自動化の検討を始めてみてください。

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よくある質問

Q. 夜間や休診時の電話対応はAIに任せられますか?

A.予約の変更や再診の案内など、定型の用件はAIが受け付けられます。休診時間帯は、AIが用件と希望の連絡時間をヒアリングで聞き取り、翌診療日に受付が折り返す流れにできます。ただし、急な症状の電話は翌日まで待たせられないため、音声案内の冒頭で119番や地域の救急相談窓口(#7119など)を案内しておきます。

Q. 高齢の患者さんでもAI電話に対応できますか?

A. ゆっくり話す設計で対応できます。聞き取れなかった場合に聞き返す分岐や、早期に人へ転送する設計を組み合わせれば、高齢の患者さんにも配慮した応対になります。

Q. 個人情報や症状の聞き取りはAIに任せて大丈夫ですか?

A. 聞き取る範囲を限定すれば運用できます。病名や詳しい症状の聞き取りは人が担当し、AIは予約情報など定型的な範囲にとどめる設計にすると安心です。

Q. 緊急の症状相談が来た場合はどうなりますか?

A. AIは症状の緊急度を判断しません。音声案内の冒頭で、急な症状の場合は119番や地域の救急相談窓口(#7119など)へ電話するよう案内します。診療時間内に、キーワード分岐で「息が苦しい」などの言葉が聞き取れた場合は、すぐにスタッフへつなぐ設計にできます。

Q. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. 最短3営業日から利用できます。専用機器や工事が不要なため、小規模なクリニックから中〜大規模の病院まで短期間で一次対応の自動化を始められます(※料金の詳細は最新版をご確認ください)。

監修: 阿野 正貴

CTI製品に精通した、BtoC・BtoBテレアポ、コールセンター拠点立ち上げの専門家。急成長ベンチャー企業のコールセンターにてテレアポスタッフとして入社後、1年以内にトップ成績を上げ、BPO事業のアウトバウンド・インバウンドのコールセンター拠点立ち上げ責任者に抜擢。最大100席以上の大規模拠点をゼロから複数立ち上げた実績を持つ。2021年Foonz株式会社入社後、CTIツールの営業拡販、CPaaS・CTI製品開発の監修等に携わり現職。 

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